2015年06月08日

メイカーズ的ジャパンクラフトビール

4月5月の怒涛のイベントラッシュが終わり気づけば6月。
梅雨模様です。
とりあえず2ヶ月間のビールイベントラッシュが終了し、遅めの五月病を患っています。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる -
MAKERS―21世紀の産業革命が始まる -

メイカーズ読みました。製造業を学んだので。
シェア、アンフェアトレードと読んでからのこの本っていうのがすごく面白かった。
21世紀のアメリカの製造業の新しいビジネスモデルについて。
オープンソースがより早くより安くより高品質なプロダクトを産む。
それはデザインやソフトがデジタル化されて、オープンな情報になっているから。
製品化される前から、マーケティングテストされ、カスタマーの支持を得る、クラウドファンディングで資金を集める製品が求められる。
インターネットが普及してこれまでは情報=ビットだけがフラット化してきた。
製造装置の高度なオートメーション化が進み、物流ネットワークがグローバル化して、世界的な賃金格差が縮小してきた、これからはハード、物質的な製品=アトムもフラット化する時代になる。
そうなれば、欧米諸国の中小企業が製造業で息を吹き返すことが可能になる。

要約すればこんな感じでしょうか。
メーカーズムーブメントについてはwiki参照で。
メイカーズムーブメント

オープン・イノベーションについてはシェアでも重要性がありました。
コワーキングスペースも大阪にもあるなぁ。今度行ってみよう。

今日は酒蔵ビールメーカーの合同協議会でしたが、
一社ずつの開発ではもう競争に勝てない、オープン・イノベーションによる技術革新が必要、という内容に至ってます。

これ、やりたい。
大手の参入により研究開発力で圧倒的不利な小規模メーカーはやっぱり寄り集まって対抗するしかないと思う。

でももうマイナーメーカーだけのクローズドな情報共有くらいじゃにっちもさっちもいかない。

一消費者でも、そこらへんのブルワーよりマニアな人もたくさんいるし、海外飛び回ってていろんなものを飲んで見聞きしてる人もいる。長年ホームブルワーやっててすごい技術とセンスのある人もいる。大手ビールメーカーの中には醸造学をしっかり学んでも、自分の好きなビールなんて作ったことない人もいる。飲食店のオーナーは自分の店で売りたいビールを明確に描いてる人もいる。
そういう人も集まってこれるような、真にオープンイノベーティブな環境って作れないもんか。
そんでそれを形にできる、コブルーイングスペースを作れないものか。
ただ、ビールが前述のメイカーズ的プロダクトと違う点は、生き物だってところ。
無生物の形を作るんじゃなくて、生物の活動をデザインする。いくらオープンな設計だっていっても、同じものが作れるわけじゃない。っていうのが面白いところだと思うんだけど。


イベントラッシュを振り返って見ての感想。
新興ブルワリーがとにかく目立つ。そういう意味でマニアは既存メーカーだけでは満足しなくなってる。
関東ではIPAがまだ強い。ウケる。サワー系がくるくる言われてても、ちゃんと作れるところはほとんどない。ので結局海外ビールが優勢。
セッションなんとか的なライトエールでうまいやつがほとんどない。むずかしい。
関西のブルワリーではIPAがあんまりない。やっぱり甘いのが人気。成熟度の問題?地方性?
ビール単体で利益が出ない。フードが売れてなんぼ。やっぱり見本市・ファンサービス以上の機能を果たせてない。

ブルワリーとして、イベントとビアパブ頼りの販路に魅力を感じない。
巻き込める人の数もそう。小規模なメイカーとしての柔軟性とかチャレンジフルな開発の強みとか。

というわけでこの2ヶ月で、自分がブルーパブをやる目的というか理由の根拠を強めたのでした。あとは適性もあるという自信と。
小規模で試験的にプラントをまずは作ってみて、色々やらせてもらおう。

ホームブルーで作ったビールの消費が全然おいつかないので、
バーベキューでも主催してパーッとみんなに飲んでもらいたいです。よろしくお願いします。
posted by koji at 18:39| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月02日

Unfair Trade

気づけば4月です。
3月は瞬く間に過ぎ去りました。
日本酒の製造もやっと終盤の終盤。火入れが済めばやっと緊張感から解かれます。
さてビールだビールだ。1ヶ月後にはイベントラッシュが待っている。

良書を読んだのでメモ。

フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た -
フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た -

貧困問題の書籍もここ数年よく読んでいるので、
こういう認証ビジネスの裏側を題材にした本に書かれている内容もちょっとは理解しやすい。
「チョコレートの真実」を読んだとき、衝撃だった。
その時の記事もあります。
http://koji0824.seesaa.net/article/135387686.html

当時は自分がコーヒーに携わる仕事をしてて、
コーヒーの抽出やサービス、ビジネスについて学ぶより、
それを作る第三世界の貧困問題について知るほうが自分には有益だった気がする。


この本は「フェアトレード認証」についてだけ書かれているわけじゃなくて、
欧米の大手企業がサプライチェーンを通じて世界中の貧困を加速させていく様々な事象について書かれてる。
それは単に公正な取引や価格を保証するかしないかという簡単な話ではなくて、
身体的精神的に劣悪な労働環境を強制したり、
倫理に反してでもその労働でしか生きる術がない状況について、
現地に入り込んで取材して書かれてる。

そしてそれらは先進国の人が少し考えれば想像できるようなことなんだけど、
「フェアトレード認証」のロゴがその想像を邪魔する。


以下、いくつかの事例について引用。

ニカラグアのロブスター漁。
質素なボンベだけの装備でほぼ素潜りに近い漁法でロブスターを穫るニカラグアの若者たち。
アメリカの大手企業が買い占めるロブスターを穫って収入を得るために、
1日に何十回も潜水する。
これにより塞栓症を引き起こし、減圧症、潜水症(ベント)を引き起こす。
20歳そこらの若者が、この症状で手足が不自由になり最悪死亡する。
組織的に身体障害者を量産する仕組みがこうして出来上がっていて、
サプライチェーンの上流の大手企業はそれを認知している。
現地では、潜水であろうが仕掛け漁であろうが加工場に持ち込まれた時点で一緒くたになり判別はできなくなる。
にも関わらず、「私達はそうした潜水によって穫られた人道的ではないロブスターを仕入れていない」と発表している。
海洋環境保全に何万ドルも投資してCSR=社会的責任を誇らしげに掲げる企業も、ニカラグアの若者が危険な潜水漁をしないように教育し装備を整えることに投資はしない。
それでも「倫理的」は売れる。


イギリス、マクドナルドのコーヒーのカップにレインフォレスト・アライアンスのロゴが入っている。
マクドナルドのコーヒーを買うと、倫理的なコーヒーを飲むような人だと周りに思わせられる。
ちなみにレインフォレスト・アライアンスは最低価格の保証がなくフェアトレード認証より、より市場主義型のシステムと言える。このロゴを導入してコーヒーの売上は25%増加した。
消費者はもっと倫理的になりたい、貧しい農家をもっと支援したいと思っているが、劣っている、または知名度の低い商品に乗り換えなければいけないのなら嫌だと思っている。
大手企業からすれば、今まで作ってきたものを作り続けつつ、安心できる倫理的認証のロゴを商品につけられればよい。
消費者は何が正しいことなのかを調べる時間も意志もなく、大企業が自分の代わりに責任を持ってそれをやってくれるだろうと考える。企業は倫理的な商品が売れるとわかっていて、倫理的なロゴの背後には「ブランド」を構築しようと待ち構えている組織がいる。

フェアトレード認証で保証される最低価格は、現在の国際市場の価格よりはるかに低く、農家が保証による恩恵を受けることはない。
保証にかかる割増金の費用は、その他の倫理的な広告のマーケティングコストに比べれば遥かに低い。
また、取引を長期間保証すると口約束はしていても、実際に価格が下落して最低価格を下回った場合、その契約が履行されるかどうかはわからない。そのコストが、認証ロゴを付けることで得られる利益を上回るようであれば、フェアトレード認証のロゴをパッケージから外せばいいだけだ。
また、フェアトレード財団に支払う手数料は、半分は認証プロセスの運営・監督にかかる管理に使われる。
もう半分が農家の手元に届くのかといえばそうではなく、フェアトレードブランドを宣伝するために使われる。

フェアトレード認証を実際に現地で運営するには、小規模の農家を一軒一軒相手にはできず、農家の協同組合を通じて行われる。
協同組合を通じて行われた取引では、協同組合の管理費や人件費で多い時には売値の30〜40%もの金額が協同組合の長老の懐に入る。


中国。Foxconn。アップル、ノキア、デル、HP、ソニー、マイクロソフト、任天堂を始め多くの有名ブランドの製造を行う工場で、2010年春、1ヶ月のうちに16人の若者が飛び降り自殺した。
アップルやマイクロソフトよりも多くの年間収益を上げるフォックスコンはアップルが利益率27%なのに対して4%しかない。生産量を上げることで生み出される利益は安い労働力によって支えられる。
週7日間、一日12時間、1万回、4秒に1回、製品組み立ての同じ単純作業を全くの無言で繰り返す。地方から出稼ぎに来る若者が希望を失って自殺する。
自殺騒動のあと、マスコミの糾弾によって給与の引き上げを余儀なくされたフォックスコンは、法定最低賃金の低い河南省への移転を予定している。
国策によって地方の教育水準は上がっており、若者の能力や野心は高まっているが、それに応える仕事がない。大学で教育を受けることがそれほど賢い投資ではないと若者が気付き始めた。働き始めるのが遅くなればその分金を稼ぐのが遅くなるだけだという思いに至る。中国の地方ではいまや、教育はマイナスの利用価値しかもたなくなっている。


ラオス。中国の隣国。中国企業のゴム園開発。アヘン栽培からの作物変換によって税控除されたゴム園が熱帯雨林を全て破壊しつくして、一面のゴムの木の単一栽培に取って代わられた。
ラオスの人々にとってゴムは唯一の仕事になってしまったが、さらに需要が拡大している以上、中国人労働者の流入は避けられず、今後その仕事があるかはわからない。ラオス国民の文化にも悪影響を及ぼす。
中国は、発展において倫理的な配慮をするのはまだ早いと言う。倫理は、欧米諸国だけに許された贅沢なのだと。欧米諸国は自分たちの帝国の特権を享受したのだから、なぜ中国も同じようにしてはいけないのだ、という言い分。
倫理的な消費者がお気に入りの製品の出自をたどることの難しさ。


アフリカ、コンゴ。スズ石鉱山。
いつ崩れるかもわからないような狭い坑道で、小さな懐中電灯とハンマーだけで採掘する。常に死の危険に晒されている。
サプライチェーンの末端、原料の調達という点でラオスと同じだが、ラオスは政治的には安定しており平和だ。
コンゴは完全に機能が崩壊しており、坑道を出たところで安全な場所などどこにもない。まだ戦争中である。
ルワンダ虐殺のあと、2003年アフリカの世界大戦が終結する頃には推定500万人の命が失われた。
この戦争で最も残虐な側面の一つが、武装勢力の多くに資金源が全くなかったことだ。
飢えた兵士たちは、食料を持つものから奪い、自分が坑道を下りなくても誰かが採掘した鉱石を奪えばいい。

スズは携帯電話やノートPC、無数の電子機器の回路基板を溶接する際に使われる。
私たちはスズ石を必要としているが、人権がここまで徹底的にひどい状態にある国と取引してもいいだろうか?
国連が推奨する倫理的禁輸措置は、ただブラックマーケットを生んだだけ。結局、コンゴの人たちはスズ石を売ることでしか生きていけない。非合法でも、中国企業が原産国の表示を改ざんして買っていく。


アフガニスタン。世界中のヘロインの90%を生産している。ピンク色のケシの花。
アフガニスタン政府はアヘンの掃滅運動を続けている。
農家も代替作物を導入しようとするが、換金作物は市場まで持っていかなければ売れない。
その途中でタリバンやアフガン警察や強盗に捕まるかもしれない。道路では検問があり、賄賂を要求され、うまく売れたとしても儲けは残らない。
ケシなら業者が買いに来る。
アヘンは鎮痛剤モルヒネの原料であり、合法栽培すれば世界的な市場もある。しかし、モルヒネの最大需要国であるアメリカの「80−20ルール」特別市場保護保証により、アヘンケシの全輸入量の80%をインドとトルコから購入することになっている。


ここまでは、世界のサプライチェーンに巻き込まれた倫理的に機能不全を起こしているケースについてだった。

しかし、同じような社会環境でもうまく行っているケースもある。

タンザニア、キリマンジャロの小さな村オレラ。高品質コーヒー。
コーヒー豆は長らく市場価格が下落していたが、このところ過去最高に上昇している。小さなコーヒー農家は通常、地域の協同組合を通じて安い単価でコーヒー豆を買い取られる。
イギリスの小さな会社が、通常単価の2〜4倍の価格で高品質のコーヒーを買い取ってくれる。それの製品のパッケージにはフェアトレード認証のロゴは入らない。
それでも長期的に高品質のコーヒーを調達するため、高い価格を提示し、現地で技術指導してコミュニケーションを取り、良好な関係を築く。
同様に、マラウィの高品質茶葉。

地域密着の小規模同士の取引で成功する2例。
さらに、これを大規模展開して成功するケースもある。

西アフリカ、コートジボワール。綿産業。
内戦や政治的混乱、社会・環境問題はこれまで見てきたような劣悪な国々と同じ環境でも、倫理的意識と社会的責任感のある、持続可能で採算の取れる綿産業。
世界最大の紡績・取引会社オラムが、 内戦で倒産した綿繰り工場を政府が競売にかけた際、工場を購入した。



この本のいいところは、認証ビジネスや先進国大手企業のサプライチェーンの悪しき部分をやり玉に上げて終わるわけじゃなく、倫理的経済的な成功例、理想のビジネスモデルを模索するところまで提案しているところだと思う。
最後にたどり着くコートジボワールのオラムという会社も、もちろん営利目的で参入しているが、現地に入り込み、農家とコミュニケーションを取って、教育し、識字率を上げ、正しい資本主義的な競争を適度に促すようにして生産性を高めている。それを短期的な利益のためではなく、長期的に高品質な原料を得られるように、投資し、農家に融資して自立をサポートする。
正しいことをしている、それを宣伝するために認証ロゴが必要なわけじゃない。自社のやり方や製品に自信があるからこそ、ロゴに頼るようなマーケティングが必要ない。

「チョコレートの真実」では、同じコートジボワールでも、カカオ農園の児童労働の問題が取り上げられてた。
非人道的な強制労働、奴隷扱いされるコートジボワールの子供たちの命が、先進国の子供たちが食べるチョコレートには含まれる。って話。
同じコートジボワールでも、オラム社の事業とは真反対。
これは、政府や社会情勢の良し悪しによってだけでなく、
企業が真剣に現地と向き合って取り組めば倫理的に正しいことは実現できるってことだ。

先進国の大手企業は、サプライチェーンという外部委託によって、委託先や、その先の委託先が倫理的であるかどうか知りつつも、是正する責任や負担を逃れようとしている。
更に言うと、それは消費者にも言えることだと思う。
著者あとがきで触れてるけど、第三世界にはまだまだインターネットによる情報の透明性がない。一方、先進国の情報の透明性はSNSなどでより過敏になっている。
消費者が企業の不正やダブルスタンダードをひとたび糾弾すれば瞬く間に拡散する。
企業は逆に、倫理的に正しい取り組みをSNSを通じて宣伝すればいい。

この本が書かれたのが2011年。そこから4年たって世界はさらに複雑になってる。
中国の労働力も賃金は上昇して東南アジアにシフトする。そこからアフリカに移るまでまだ少しある。
「最底辺の10億人」でも書かれてたけど、最貧国への援助は金を渡せばいいってもんじゃない。
一方的なNGOの支援も時間がたてば役に立たなくなる。

日本で生きてると関係のないような話に聞こえるから不思議。
今このブログを書いてるChromebookも世界に絡まるのサプライチェーンを通じて製造されたに違いないのに。


久々に長くなったなぁ。
この本に出てくる多くの倫理的に機能不全を起こしている国々は、コーヒーの産地だ。
日本でよく飲まれるスペシャルティコーヒーは高品質で倫理的な商品である可能性は高いけど、コーヒー生産全体の1%やそこらの製品。残りの99%のコーヒーはどうやって作られて、作ってる人たちはどんな環境を強いられるんだろう。

結局のところ、本を読んだりすることでしか得られない知識や情報。
知らなきゃ知らないでいい平和な日本で生きていられることに感謝しつつも、
いつかそういう世界もこの目で見てみたいなと思うのです。
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2015年03月04日

勉強会!その後 乱文

3月頭はビールなスタート。
大阪の伝説的なビールイベントに一ブルワーとして参加できました感謝。
あとは関西のメーカーが集まって勉強会に出席。
国税局の先生からのありがたいお話はこのブログでもすでにまとめた情報でした。
データのソースが書籍やネットで出回ってるのでしかたないか。
自分で調べられる範囲では調べてるつもりなので、ある意味確認ができてよかった。
それよかむしろ洗剤メーカーのCIPの話のほうがよかったな。
あとはこれからのクラフトビールの話。
国産クラフトビールのレベルって確かに上がってるけど、
それが行き着くところまで行けばどれもこれも似たような商品になるんでは?
っていう問題提起と、じゃあオリジナルの醸造技術を確立しよう、っていう発想はよくわかる。
でもそれが日本酒のテクニックだったりワインのテクニックだったりっていう、
うーん、、なんかちょっとずれちゃうかなか。飛び道具にはなるかもしれないけど。
世界中でクラフトビールが作られるようになって、それがどんどん日本に入ってきてる。
低温コンテナで品質もキープされたままほぼリアルタイムで世界中のクラフトビールが飲める。
今我々小規模メーカーは何をしたらいいのか?
という勉強会初日でした。
メーカーのレベルはほんとピンキリで100kl造るところもあればブルーパブで6klギリギリってところもある。
技術的なレベルはかなり差があるだろうなぁ。。

そして二日目は大阪で最も力のあるビアパブオーナーの、ビアパブ経営者からみたクラフトビールについてのご講義。
これが熱かった。

まずは地ビール解禁から20年を振り返り。
そんで関東と関西の差を見て、関西メーカーの怠慢、不勉強をぐっさりやられました。
開業して10年以上レシピやスペックを変えずに今まで作り続けてるメーカーも多い。
それを伝統とかうちの味って固執しちゃってますね、っていう指摘。
原料もどんどん新しくなってるし、醸造技術も新しいテクニックの情報があるから、それに取り組まないと置いてかれる。
もちろんホップなんかはかなり流行りものになってきてて、
そのサイクルは短い。
だから最初そうやって指摘されたときは、流行りものでキャッチーな商品開発をしないとビアパブとしては売りにくい、って言ってんのかなって思った。
でもそうじゃなくて、そういう新しい原料や技術にも取り組んでいって、
レギュラー商品もスタイルは守りながらその中身はマイナーチェンジしていかないと、ってことだった。
そういうインプットとしての情報に敏感になりながら、
自社の商品情報のアウトプットにももっと真剣に取り組むべき。
ビールのスタイルやアルコール度数、IBU、ホップの品種はもちろん、
提供温度やケグ詰めしてからのストック期間、ガスボリューム、酵母の活性の良し悪しやそこから影響するフレーバー、品質のブレ具合なんかも、ビアパブは知りたいと。
それが単純に減点加点の評価になって取引に影響するっていうよりは、
そういう情報発信・提供ができるかどうか、そこが信頼になって取引になってると。
ただ定期的に顔出して挨拶してれば信頼されるっていうわけじゃないってことですね。
商品の正確な情報、それに基づいた提供方法の調整まで提案してほしいと。

先日見て来られた、アメリカでのクラフトビール。
日本の10年先って言われてる。10年先かぁ。
IPA一色って感じだったのももはや廃れたようで、
むしろ原点回帰でジャーマンスタイルやベルジャンも出てきてる。
アメリカにある4000とか4500とかあると言われるブルワリーの半数以上はブルーパブぽい。
他の地域に出まわらず地元で消費されるだけの小さなブルワリーは、
スタイルやジャンルを限定して特化した造りをしてるらしい。
オープンファーメンテーションで全部造ってるupright brewingとかとんがってたなぁ。
ロゴデザインからグッズのデザインもやっぱり違うと。
アパレルとも連携して、プロモーションミックス。そういう視点が必要。
大きなボトルビールの熟成もやってて、ワインのような感覚で高単価商品高付加価値商品が売れる。
800種類ものボトルビールを扱う酒販店があって、
そこにメジャーなクラフトビールは数種しかない。
ほとんどローカルなクラフトビールメーカーの商品だけでラインナップされる。
アメリカのホームブルワーはそもそもレベルが高くて、ブルーパブをオープンした段階で醸造技術がある。
小さなロットでも要所要所をしっかり押さえた造りだから美味しい。


ガスボリュームのコントロールとかpHコントロールをしてないメーカーがある。
技術的な格差が広がってるって言われて是正するための勉強会なんじゃないのか?
どこをお手本にすればいいんだろう。もっと他のメーカーの仕込を見ないとわからない。
そういう具体的な話がなかった。

去年のスモークエールの感想がけっこうひどかったなぁ。
まぁ狙ったところがスモーク100%ってところだったから、そういう意味では正しい評価か。
でもあのあと最初のバッチから、2回め3回めと評価を上げていくっていう作業が必要なんだろうなと。
限定ビール1発で終わるから評価がイマイチ。そういうのもひっくるめてコミュニケーション取れればってことなんだと思う。
限定ビールで色んな挑戦をして、新しい原料や製法で試行錯誤したり、
他のメーカーとコラボして技術交流をはかる。
そうやって積んだ経験を活かして、レギュラー商品のマイナーチェンジ、ブラッシュアップをする。
今売れてる先頭集団のメーカーがやってる取り組みってそういうことの繰り返しなんかもしれない。
話題作りとかマニアを喜ばせるためだけのサービスなんだって決めつけてたけど、
ちゃんとやってるところは明確な目的があってやってたのかも。(そうじゃないところもあるとは思うが)
っていう今更な気付きを、親方にご指導頂いて得られたのでした。
他のメーカーがどういうことやってるのかって、ちょっと話したくらいじゃ正直わからんもんな。

この三日間はビール醸造について改めて意識が変わった貴重な時間でした。
消費者がどうこう余計なことを考えずに、
製造業としてあるべき姿っていうの、初めて考えたかもしれない。
話した内容のメモ的内容のため乱文ご容赦くださいませ。
posted by koji at 12:58| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月05日

これからの小規模メーカーはニッチャーだけが生き残る

明日はビール仕込み。毎日日本酒ばっかり造ってるからビールを造るのが楽しみ。
ビール仕込みの準備をしながら、麹と酒母の管理もするってかなりレアな体験だと思う。笑
環境に感謝。

大手各社がクラフトビール参入を表明してさらに一般化するであろうクラフトビール。
それでもこれまで頑張ってきた既存のクラフトビールメーカーは戦々恐々としてるか、ただただ無関係を装って傍観してるかって感じになりつつあります。
地ビールスタートして20周年の節目の年なんですが、
業界の大きな協会はあんまり盛り上げる気もなさそう。
その辺がただの地方の中小企業の寄せ集めって感じです。

反して、大手キリンは今年をクラフトビール元年と銘打って商品展開していくと発表。
(クラフトビール元年ってここんとこ毎年のように言われてる気がするけど)
大手の販促、広告で一般消費者に認知されるのはありがたいけど、
結局大手に乗っ取られる形は避けられなさそうだ。
プレミアムビール市場がシェア16%にアップして、20%くらいまでいくだろうと予測されるそーな。
それにクラフトビールを加えて、高付加価値商品は大手の戦略の軸の一つになるようです。

さて、そうすると一般消費者はクラフトビール=大手の今までと違ううまいビール って認識になる。
そうすると、既存の小規模クラフトメーカーは、残念ながら「地ビール」メーカーに逆戻りしてしまうんじゃないかと。
全国のスーパーやコンビニで大手クラフト(クラフティ?)が200円300円台で売られるようになったら、、、
地方のお土産需要に頼らざるを得ないメーカーがほとんどじゃないでしょうか。

という議論を昨日とある協議会ですったもんだした。
これはかなり現実味のある話です。価格で勝負できないのに品質でどこまで差をあけられるか。
常温の業務用の樽が飲食店向けに出るようになってくるとかなり厳しいことになるだろう。

小さいメーカーは自分たちのこだわりや品質について、
もっと最終提供者である飲食店に教えたいと思っている。
けど、最近の流行りはメーカーが樽替わりでどんどん入れ替わるスタイル。
これだと各々のメーカーと消費者のつながりは希薄になる。密にできない。
だからといってタップ固定で常設してくれって言ったって、
ごく一部の集客力のあるブルワリーだけが可能な戦略になってくる。
結局、零細ブルワリーは自分たちで主導権を握れず、イベント頼りの戦略になりがち。
やっぱり取れる戦略は弱者の戦略、まさしく、いわゆるランチェスター経営しかなくなってくる。
最強のニッチャーを目指すってわけです。
ランチェスターって基本的には地元密着、限られた市場で圧倒的な1位を目指すっていうスタンスなわけですが、
一見するとそれって地ビールってこと?っと思う。

でもよくよく考えてみると、地ビールって、地元の人が買うものじゃない。
観光客が土産物で買うものであって、地元で飲まれるわけじゃない。

このところのクラフトメーカーは全国のイベントに顔をだして、全国のビアパブに出荷することで伸びてきた。
反面、地元でもそんなに売れない、田舎の人だからクラフトビールなんて飲まない、って雰囲気があった。
でもそれはきっと、強者=大手がいなかったから成り立ってたんじゃないかと。
弱者だけが集まってわいわい仲間内でやってきたからバランスしてた市場。
これからは強者が圧倒的な戦力で幅を利かせてくる。
だとしたらこれからは弱者の戦略の重要性が上がるってこと。
小さな戦力でも、地域・商品・ターゲットを限定して戦力を集中させて戦うしかない。

クラフトビールの定義がどうのこうの言ってもしょうがないことになりそうだなぁ。
結局、うちにしか作れないっていうビールがないといけないんだなと。
そしてそういうのがないメーカーは、全国で売れなくなって地元の土産物ビールとしての道しか残らなくなると。いずれはその需要もなくなるだろうけど。


ビールの酒税是正も気になるところですがまた改めて。

書きながら考えを整理するというのは文章はめちゃめちゃになる。笑
まぁご理解してもらえたら幸いです。

さて、酒母の面倒でも見てこようかな。
posted by koji at 18:58| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | フード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月21日

統計学が最強の学問である

1月も下旬になり大吟醸造りが佳境を迎えつつあります。
春が待ち遠しい。
冬ごもりしながら春からの作戦を考え中。
事業計画を作ってるつもりがいつの間にかクラフトビール市場環境の分析と考察に陥ってしまワナです。
最近のクラフトメーカーにアンケートした統計では、
1社あたりの平均売上が年商8700万円にまでなって前年比14%増と二桁成長を続けてるというニュース。
リッター1,000円で単純計算して年間製造量87,000リットルが平均。
これでも儲けの出てるところは多くないだろうなぁ。
そしてこのアンケートは上から166社を対象にしてるような数字だから、残りの下から100社ほどは極端に低い数字だろう。
平均すると1週間で2KL弱の製造量。毎週2バッチ作って売る。
二極化してるような気もします。

で、タイトルの本「統計学が最強の学問である」を読みまして、まぁ図書館でずいぶん前に予約してた本です。
キャッチーなタイトルでけっこう売れたんじゃないかな。
最強かどうかはわからないが、統計学が経営戦略上ものすごく重要なのはなんとなくわかる。
この本、統計学的には入門的に優しく書かれてるんだろうけど、
久々に高校の授業を思い出す程度には数学的な内容なもんで、、、普段使わない頭を使いました。

統計学が最強の学問である -
統計学が最強の学問である -

チェーンカフェではPOSって当たり前にあって当たり前のようにデータを使ってたけど、会社の誰もがそのデータから、この本に書かれてるような統計的分析はできてなかったなぁ。
結局19世紀の統計学者がやってきたような集計と平均でしかなった。
微積分とか使って色々分析しようと考えたときもあったけど至らず。
回帰分析の勉強が必要だったんですね。

後半はちょっと小難しくなって読むのが面倒だったけど、ランダム化比較実験が最強ってところはちゃんと理解できてよかった。

ちょっと引用
・「正解のない意思決定」について、正解がないのであればとりあえずランダムに決めてしまう、という選択肢の価値はもっと認められるべき
・統計学的な裏付けもないのにそれが絶対正しいと決めつけることと同じくらい、統計学的な裏付けもないのにそれが絶対誤りだと決めつける愚かさ
・ランダム化の限界 「1回こっきりのチャンス」あるいは、あったとしてもせいぜい数回程度しかチャンスがないもの自体を取り扱うことに対して、ランダム化しようがしまいが統計学は無力である

さて、データ収集と分析って個人的にはすごく重要だと思う、というか好きだ。
それをみて戦略的な意思決定をするのも好きだ。
けど、個人の飲食ってそもそもデータの収集自体が稚拙になりがちで、意思決定に意思以外のエビデンス(ってやたらこの本にも出てくる、根拠)がなかったりする。
ちょっと前まではPOSシステム自体が比較的大きな投資を必要としてたわけですが、タブレットが出回り始めてからはかなりハードル下がってますね。個人飲食でもPOSのデータ収集は必須なんじゃないだろうかと。(いや、そんなことはもうしてる?)

販促のキャンペーンを打つときに、とりあえず試してみるっていうのはよくわかる。
でも会社の会議って得てして、そのキャンペーンに今期の成否の全てがかかってる!みたいなことになりがちで、なのに統計的な裏付けなんてそもそもありはしないのに上層部がノーと言わないようなありきたりな施策で落ち着いてしまう。こういう不毛なやりとり疲れます、けど多い。
とにかく答えがないからやってみよう!っていうこともあるにはあるけど、一つのキャンペーンだけやって、意味あったかな?いや、なかったかな?くらいのサマリーしかなかったり。
複数のキャンペーンをランダムでやってみて結果を分析するって難しい。日本は特にそういう感覚遅れてる気がする。

しかしランダム化が最強って言ってもそれはデータが色々比較できるほどたくさんある場合で、個人の零細事業って、そもそも毎回が1回こっきりのチャンス、一発勝負みたいなところあると思う。

過去のデータってやっぱり過去でしかなくて、そこからの予測の枠からはみ出したことをやろうと思ったら数字のエビデンスなんて無力(か微力)なんじゃないかなって思います。

ブルーパブには、アメリカの数字のエビデンスはあるけど日本のデータではない。
だからこそ意思決定に、意思以上の根拠がないんだな、って思わせられる本でした。

起業ってエネルギーいりますね。
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