2015年12月29日

クラフトビール革命

久々です。

タイトルの通りの本を読みました。

クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業 -
クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業 -

この本、クラフトビールでの起業を目指す私にとって、

ワクワク 8割

尻込み 2割

という感想。

アメリカのクラフトビールの発展の顛末(といってもまだまだ発展中の)を当事者が書くという点で、
日本のこれからのクラフトビールシーンを想像することができる良書。

ビールの小規模メーカーの創業者の心境がありありと書かれてる。

今日は引用がメイン。

マスコミではちやほやされるが、それが幻であることはわかっている。
財務的には厳しく、まだ黒字も出ていないのにさらなる投資が必要になる。
多くのベンチャー起業家たちにとっておなじみの苦しみ。
ベンチャー事業の初期段階では、成功しているように見せかけることが重要。
最後は利益が上がるはずという希望を抱きながら自信に満ちた外見を保ち続けなければならない。
起業家は生き残りをかけて四苦八苦していた創業時代の美談をしばしば持ち出す。
確かに創業期の成功へのモチベーションは信じられないほどパワフル。
それはあまりの苦しさから一刻も早く逃れたい一心で生じる力だ。現実は地獄なのだ。


どこで営業しようともスケールメリットが大事。
生産設備は、マーケティングや営業に必要なリソースを食いつぶしてしまう。
ビールビジネスに参入したいからと言って、必ずしも生産設備を持つ必要はない。


うちのビールが世界一だと自負するのは構わない。
しかし口頭であれ文章であれ、どんな方法だろうと他人が作ったビールの名誉を傷つけることは業界全体を傷つけるに等しい行為だ。

マイケル・ジャクソン
数千年にわたって老若男女を魅了し続ける、この安価で素晴らしい飲み物の複雑性。
実際ブルワリーというものは、いつどこで暴発するかわからない地雷原のようなもの。
醸造科学はその暴発を防ぐために存在している。
科学的教育を受けたブルワーがGスポットよりもトラブルスポット探しに慣れているのはそのせいだ。
彼らはエクスタシーよりも苦痛に詳しいのである。
2つの誤解。一つは評価の観点。ビールを評価すべきポイントは、欠点かそれとも長所か?
もう一点は表現の問題。自社のラボに内緒でせっかく作ったビールを捨ててしまうブルワーもいる。
おそらく自身のビール品質に対して恐ろしく厳しいのだろう。彼自身の評価基準を非常に重視している。
だから、どんなビールであってもこき下ろす気にはなれない。

素晴らしいビールを作ることは、称賛すべき人々による称賛に値する仕事であるということ。
もちろんそこには素晴らしい酒があるということ。
さらに、考え得る限り最高に完璧な何か、絶対の真実としてのビールづくりは可能だということ。
言い換えれば、ビールを通じてこの世において最良となる全てのものをもたらすことすらできるということ。


ギリギリのことを試す。はっきり禁止されていない行為は、たぶんやってもいい。
要するにあらかじめ許可を得るんじゃなく、あとで謝ればいいってこと。


小規模メーカーの創業者にとって共通していることは資産家ではないということ。
しかし、豊かな生活を日々エンジョイし、自身の業績にプライドを持っている。
ビール文化というこの国の根本に関わるものの改革に携われてラッキー。
人の日常生活にとって非常に大切なもののひとつであるビールにインパクトを与えられたなんて最高。


ブルーパブはキャッシュフローを生んでくれる。
自分のパブに競合が入り込んでくることはないし、コントロールもできる。
そしてやっぱりなんといってもパブは接客業。ブルーパブにもっと集中すべきだ。


ビジネスの安定している卸売業者が新規参入ブランドの売り込みという骨の折れる仕事などするはずがない。
つまり成功したければ自分のビールは自分で売るしかないのだ。


安価なビールへの揺り戻しが起きている。
その要因はクラフトビール業界にもある。それほど価値がなさそうなビールに高値をつけるブルワリーもあるからだ。そういうビールを買って痛い目に合う客もいる。
そういう客はもう二度と買おうとは思わない。


我々ブルワーには、それぞれ独自のアイデアと哲学がある。
作家が芸術家のカテゴリーに属するのだとすれば、我々も芸術家なのだ。
究極的には飲み手のグラスの中で生命を得て息づくために存在するビールのレシピも最初は散文のごとく紙の上に表現される。
それが真実だとすれば、ビールのレシピも紙に記された単なる言葉ではない。時間とともに昇華し、知的な議論すら促す液体の芸術。それがビールなのである。

このビールの品質に問題はありません。もちろん飲んで健康を害することはないですし、それなりにおいしいと思います。ただし、我が社の考えるレベルに達したビールではありません。ですから見守っていてほしいのです。次のビールはもっとおいしくなるはずです。
初回生産分を発売したビールに貼り付けたステッカーの説明文。ビールの品質に全てを捧げる。


ワンオフのビール。酸味の強いビールや、カベルネフランやシャルドネなどのワイン用ぶどう、レッドカラントと一緒に醸造したビール。オーク樽、ウィスキー樽、ラム酒樽で熟成したビール。乳酸菌やペジオコックス菌で発酵させたビール。
ワンオフビールのイノベーションは我が社の企業文化の大きな部分を占める。
ワンオフは飲み手とスタッフ両方が楽しめるから、モチベーションの大いなる源。


食の世界では古い伝統にひれ伏す必要はない。
既存の伝統的ビアスタイルではなく、食の世界で見つけたビールの材料としてポテンシャルを持つ素材をベースにして、普通でない人々のための普通でないエールを作る。


限界を目指して、可能性のある場所にさらなるニッチを創造する。
食やワインのカテゴリーの最高峰にも近づけるようなニッチ。


レイトビア。ワインから始まったトレンドがコーヒーにも波及し、次はビールの番であることは明らかだった。

マイクロブルワリーやパブブルワリー、ナノブルワリーがここまで台頭したのは、ソーシャルメディアの発展に依るところが大きい。
ただし、問題は140文字のメッセージで注目を集める能力と、実際の中身はまったく異なるということ。
消費者は目新しいもの、エキゾチックなものに飢えている。
そうした心理は、「ブランド」には不利に、「スタイル」には有利に働く。


BAAは、小規模ビール会社の利害を代弁し、彼らの声を州や連邦政府に届ける役割を果たしていた。
意見交換の場、政治・広報スキル育成の場として機能していた。
市場の問題を議論できる場ができたことでブルワーたちの連携を強め、情報を共有し、一致団結して問題の解決にあたれるようになった。


ビールの販売に関して、
1.新鮮なビールは売れる
2.流通ビジネスはボリュームが命
3.ボリュームは七難隠す


小規模のままでいる、というスタイル。
第三世代のブルワーにとって、素晴らしいビールを醸造する、コミュニティを作る、ビアサークルの人気者になる。
ブルーパブの多くはより規模の大きなプロダクションブルワリーに成長していくが、新世代の多くはブルーパブをやっているだけでハッピーなのである。

醸造所に入ると、香り、音、風景、醸造所を構成する全ての要素が揃った環境に身をおくことが出来る。
建物の奥の半分が醸造所で、手前がテイスティングルーム。
客はどこに座りたがるか?醸造所に一番近い席だ。
醸造所からの香りや風景を楽しみながらビールを飲みたくなるんだ。


ナノブルワリーはサスティナブルではない。
ナノブルワリーとしてスタートするなら、それがゴール地点ではないことに気づかなければだめだ。
小規模な状態を維持するのは難しい。単純な話、ナノブルワリーは儲からない。
少量、多種。ブルワーにとってナノブルワリーが面白い理由の一つだ。


クラフトブルワリーは、数多くの新しい生産戦略とビジネスモデルを生み出してきた。
全ての規模において気の利いた成功モデルが登場してくる。優れたものはいずれ自ずと浮上してくる。

ただ一つだけ確かなことは、質の高いビールを作り続けなくてはならないということ。
今ではどのコミュニティにも複数のブルワリーがあるから、質の高いビールを作り続けないと難しい。

クラフト風ビールに低めの小売価格を設定することで大手が革命を横取りしていく可能性がある。
しかし、革命は広く深く浸透している。
生産者の顔の見える食材や多種類で新しい商品を求める消費と社会のトレンドの一部になっているし、音楽やテクノロジーの分野とも結びついて進化している。


大手対小規模、クラフトブルワー同士の衝突。ビール戦争は最終的に敵と味方の双方に利益をもたらす。
ある種のプロレス。観客を楽しませる興行である。
日本のビール業界全体の市場規模は約二兆円と言われており、そのうちのクラフトビールのシェアは1%。
まだまだ日本版クラフトビール革命には伸び代がある。



とここまで引用。
アメリカにはそもそもヨーロッパからの移民が築き上げたクラフトビール文化が禁酒法時代以前にあった。
今のクラフトビールのパイオニアたちはその頃のブルワリーを買い取ったり、修繕したり、昔からあったブルワリーに委託醸造することで成長した。
日本もやっとこの段階まで来てるのかなって気はする。
そもそも地ビール解禁からまだ20年しか経ってないことを考えると、市場の移り変わり自体が目まぐるしい。
ここから、日本がアメリカのように爆発的にブルワリーが急増するかというと、ホームブルーイングが非合法なだけにそこまでじゃないと思う。
ただ、だからこそ入り口がブリューパブである必然があるんじゃないかと。
アメリカのブルワーの多くも、初めはホームブルワー。まずはビールの醸造に魅力に取り憑かれるところから。
日本の環境だと、そもそもビール醸造を経験する事自体のハードルが(合法的にいえば)高いわけで、ブリューパブにはそのフラストレーションを埋める機能があると思う。

あとは、ナノブルワリーはとにかく儲からないこと。
これはちょっと計算すればわかりきったことで、小規模である以上、ブルワリー以外での収益の柱が必要ということ。
だからこそ小規模ブルワリーは飲食店を併せて経営しなきゃいけない。
売上のボリュームで言えば、飲食店のほうが上。そこできっちりビールを供給しつつ、プロダクトとしてのビールを作るしかない。

日本のこれからのビール業界についての危惧。
アメリカのベンチャースピリッツありきのクラフトブルワリーと、
日本の第三セクターありきのクラフトブルワリーとの違い。
起業家精神の不足。
大手が参入してきたことで、ここからのクラフトブルワリーは、アメリカでもあったような「ビール戦争」が必要だと感じた。
例えば、「クラフトビール」というプロダクトの定義について、日本には数字を明記した定義はない。
大手がクラフトというキーワードを使い始めて市場の奪い合いに参入する。
あとは税制。大手や政府を相手に戦うしかないけど、それができる業界団体はない。
日本のブルワリーはまだまだ村意識のある仲間で、お互いに助けあってるけど、競い合ってる感じではない。

というわけで、
ブリューパブのマーケットを作ること。ブリューパブの業界団体を立ち上げてクラフトビール業界に影響すること。
ブリューパブが日本のクラフトビールシーンをもっと活性化すると確信しています。
技術的な発展や、人的な雇用の創出も大きなインパクトがあるはず。
このブログのテーマもようやく意味があるものになるかな。
来年も、来年こそ皆様どうぞ宜しくお願い致します。
posted by koji at 17:46| 大阪 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月08日

メイカーズ的ジャパンクラフトビール

4月5月の怒涛のイベントラッシュが終わり気づけば6月。
梅雨模様です。
とりあえず2ヶ月間のビールイベントラッシュが終了し、遅めの五月病を患っています。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる -
MAKERS―21世紀の産業革命が始まる -

メイカーズ読みました。製造業を学んだので。
シェア、アンフェアトレードと読んでからのこの本っていうのがすごく面白かった。
21世紀のアメリカの製造業の新しいビジネスモデルについて。
オープンソースがより早くより安くより高品質なプロダクトを産む。
それはデザインやソフトがデジタル化されて、オープンな情報になっているから。
製品化される前から、マーケティングテストされ、カスタマーの支持を得る、クラウドファンディングで資金を集める製品が求められる。
インターネットが普及してこれまでは情報=ビットだけがフラット化してきた。
製造装置の高度なオートメーション化が進み、物流ネットワークがグローバル化して、世界的な賃金格差が縮小してきた、これからはハード、物質的な製品=アトムもフラット化する時代になる。
そうなれば、欧米諸国の中小企業が製造業で息を吹き返すことが可能になる。

要約すればこんな感じでしょうか。
メーカーズムーブメントについてはwiki参照で。
メイカーズムーブメント

オープン・イノベーションについてはシェアでも重要性がありました。
コワーキングスペースも大阪にもあるなぁ。今度行ってみよう。

今日は酒蔵ビールメーカーの合同協議会でしたが、
一社ずつの開発ではもう競争に勝てない、オープン・イノベーションによる技術革新が必要、という内容に至ってます。

これ、やりたい。
大手の参入により研究開発力で圧倒的不利な小規模メーカーはやっぱり寄り集まって対抗するしかないと思う。

でももうマイナーメーカーだけのクローズドな情報共有くらいじゃにっちもさっちもいかない。

一消費者でも、そこらへんのブルワーよりマニアな人もたくさんいるし、海外飛び回ってていろんなものを飲んで見聞きしてる人もいる。長年ホームブルワーやっててすごい技術とセンスのある人もいる。大手ビールメーカーの中には醸造学をしっかり学んでも、自分の好きなビールなんて作ったことない人もいる。飲食店のオーナーは自分の店で売りたいビールを明確に描いてる人もいる。
そういう人も集まってこれるような、真にオープンイノベーティブな環境って作れないもんか。
そんでそれを形にできる、コブルーイングスペースを作れないものか。
ただ、ビールが前述のメイカーズ的プロダクトと違う点は、生き物だってところ。
無生物の形を作るんじゃなくて、生物の活動をデザインする。いくらオープンな設計だっていっても、同じものが作れるわけじゃない。っていうのが面白いところだと思うんだけど。


イベントラッシュを振り返って見ての感想。
新興ブルワリーがとにかく目立つ。そういう意味でマニアは既存メーカーだけでは満足しなくなってる。
関東ではIPAがまだ強い。ウケる。サワー系がくるくる言われてても、ちゃんと作れるところはほとんどない。ので結局海外ビールが優勢。
セッションなんとか的なライトエールでうまいやつがほとんどない。むずかしい。
関西のブルワリーではIPAがあんまりない。やっぱり甘いのが人気。成熟度の問題?地方性?
ビール単体で利益が出ない。フードが売れてなんぼ。やっぱり見本市・ファンサービス以上の機能を果たせてない。

ブルワリーとして、イベントとビアパブ頼りの販路に魅力を感じない。
巻き込める人の数もそう。小規模なメイカーとしての柔軟性とかチャレンジフルな開発の強みとか。

というわけでこの2ヶ月で、自分がブルーパブをやる目的というか理由の根拠を強めたのでした。あとは適性もあるという自信と。
小規模で試験的にプラントをまずは作ってみて、色々やらせてもらおう。

ホームブルーで作ったビールの消費が全然おいつかないので、
バーベキューでも主催してパーッとみんなに飲んでもらいたいです。よろしくお願いします。
posted by koji at 18:39| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月06日

フリー!

久々の更新。
気付けば11月で酒造りも始まっている。今年もあっという間に終わって行くなぁ。

いつもの酒蔵ブルワリー3社合同の会議で、
やっぱりいつもながらクラフトビールの定義についての話題に。

このところ大手ビールもクラフトビールを名乗るようになって、
ますます定義化するなんて困難になりつつあるクラフトビール。
マーケティング的にこのキーワードをめぐって主導権をどう取るかが焦点になっている様相なわけです。
この争いが激化する一方で、消費者は蚊帳の外って感じもあってメーカーとの温度差があります。

コンサルタントの方はもともと大手スーパーのマーケティング責任者だから発想がマス向けなんだけど、
その割には嗜好品のニッチな思想もあって、メーカーの職人気質についても理解がある。

クラフトビールにはまだ、ワインのようなわかりやすいカテゴライズがない。
それを作るためにキュレーション的な作業が必要だってことなんだけど、
ビールの価値を再編集するなんてそれはそれは難しい作業なわけで。

そのためにも、ブルワーにはヴィジョンとロジックが必要。
うまいビールを追求する、人々にうまいビールを飲ませる、喜びを与えるという動機。
それを達成するための技術的な裏付け、自信。
ビールのプロに必要な要素。

肝心のクラフトビールとは、という問いの答えはなかなか出てこないけど、
自分的にしっくりくるキーワードが出てきた。

クラフトビール=自由

今の日本の酒造メーカーはやっぱり酒税法に縛られる発想になる。
うまいビールを追求するためにエンドウ豆タンパク質を原料にするわけじゃなく、
酒税法という枠があるから必要なもの。
大手ビールが、薄くて画一的な味のビールを作るのは大量生産という制限があるから。
クラフトビールは、うまいビールを追求する。
そういう意味で、リアルエールじゃなきゃいけないとか、伝統的手法じゃなきゃいけないとか、小規模でなきゃいけないとか、手作りじゃなきゃいけないとか、独立的じゃなきゃいけないとか、、、
そういう制限的な定義じゃないと個人的に思ったわけで、
クラフトビールとは自由に創られるうまいビール、というのがここ最近で一番しっくりくるものになった。
だから、安定的である必要もないという開き直りもある。
何をいれてもいいし、入れなくてもいい。濃かろうが薄かろうが、スピリッツを足そうがジュースで割ろうが、正道だ邪道だなんていうのがないのがイイ。歴史的に見ても、ビールってけっこう適当にそうやって発展してきたんじゃないかなって気がしません?

こないだ社長と個人的に食事に行って、色々相談とお願いを。
醸造設備の借り受けと免許申請に必要なもろもろのサポートを依頼。
免許申請には、かならず醸造の技術的な裏付けが必要。
ホームブルワーからだと普通はそこがネックになるけど、ブルワリーに技術指導や顧問になってもらうという書面でクリアできるらしい。お金積む人多いそうな。
醸造設備への投資は最低限に抑えたい。
借りれる設備があるなら、それを最大限活用して、それでできるシステムを考えたい。
マイクロってやっぱりDIYがあって始めて成り立つ規模なわけで、
メンテナンスやチューンナップも自分でできないといけない。

あとは販路のシナリオ作り。
酒造免許には、最低限の販売ノルマがあってビールで年間60KL、発泡酒で6KL。
ブルーパブは基本、発泡酒免許になるけど、
単純計算で毎日17Lビールを売る必要がある。
飲食スペースを隣接させるブルーパブは自店舗で販売するっていうシナリが書けるから、
席数と回転率、1日の来客予想から、一人当たりのビール販売量を想定して年間販売量を設定できる。
もしそれでクリアできないのであればもちろん外販することになる。
酒販店や飲食店にお願いして、年間何ℓ買い取りますという承諾書をもらって回る。
まぁこれには特に法的な拘束力が無いから、何でもいいような気はするけど、、、

そのうえで、資金の潤沢さや経営的に採算が合うのかまで見られて始めて申請が可能(許可が降りるわけじゃなく)になる。

お役所仕事だから対応が大変そうだなぁ。
来年、酒造りと春のイベントラッシュが落ち着けば平日動ける態勢を整えて、進めたいと思います。
そのためにも今年の酒造り頑張ろう。
去年は何もかも始めてで完成形がわからないままやってて疲れた。
今年はそれがわかって、自分の仕事の範囲も明確だから今のところやりやすい。
麹と酛担当というかなーり責任重大な役割だけど立派にこなしたいと思います。
posted by koji at 23:07| 大阪 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月11日

クラフトビールとは何か

かなり大きな題目だなぁ。
ずいぶん前に書きかけた記事、公開するのを忘れてたっぽい。笑
3月に書いてるわ。一応アップしとこう。

クラフトビールってビールの一ジャンルになるのかな。
それとも日本人のいう「ビール」とは違うものを目指そうとしているのか。
これ書いたとき(今でもそう変わってないが)今のクラフトビールのあり方にかなり悲観的。
改めて読むとちょっと喧嘩売りすぎな気もする。笑





関西の酒蔵ブルワリー三社合同で行われる協議に参加してきた。
うち以外はかなり大きなメーカーで、コンサルタントの先生にアドバイスをもらいながら進める話し合いでなかなか考えさせられる話題に。

まず、クラフトビールとは何か?

これ、意外と答えられません。
業界的な認識でいえば、国内でいえば大手四社(オリオンいれて五社)以外のビール。
でもこれって全然、クラフトビールそのものを表してない。
小規模であればそれだけでクラフトビールなのか?

そもそも、大手以外のビールを「地ビール」として打ち出してきた歴史があって、地ビールのイメージが悪くなってきたから地ビールを捨ててクラフトビールとして再出発したわけです。
クラフトビールが流行ってると思ってるのはその業界にいる人と、全体のシェアのうちの1%でしかないファンの人たち。
残りの99%の人からすればクラフトビールと地ビールを分ける基準はかなり曖昧で、だかこそ身内だけでしか商売になってない。

一応アメリカのクラフトビールの基準は、小規模・独立的・伝統的製法、というこれまた日本には合致しなさそうな基準です。

結局クラフトビールってなんなんだ。流行ってる流行ってるっていってるものなのに、誰もうまく説明できない。ビアパブ関係者やメーカーでさえはっきり定義できないものを、どうやって一般の人に説明して理解してもらえるだろう。
ここが正念場な気がします。

大手ビール=ピルスナー
それ以外のビール=100種類を超えるスタイルのビールのすべて

こういう始め方をすると、説明しようったって無理だ。なんか根本的な誤りを犯してる気がする。
クラフトビールを、大手ビールと違うものって区切っちゃうからややこしくなるんじゃないだろうか。
日本のビール=大手ピルスナーっていう前提があるから、クラフトビールは日本のビールじゃないような感じになる。ビールっていう商品の中にピルスナーもクラフトビールもあるべき。

クラフトビールはうまい。日本人が今まで知らない味わいで、それが強みだと業界の人たちは思ってる。
じゃあなんでこんなにも広がらないんだろう。
クラフトビールには、小難しさや分かりにくさがある。
メーカーやビアパブは、大手ビールのピルスナーと何がどう違うのか、違うから何がすごいのか、うまいのか、それをお客さんに説明して教育するところからやらなきゃいけないと思ってる。と思う。
そんなのは、お客さんからしたら迷惑な話で、だからいつまでたっても広がらない。
クラフトビールって単語がもっと単純明快で魅力的に感じられるイメージを持たないと、いつまでたってもシェアは1%にとどまりそうだ。

エールという言葉でさえ一般的とはいえない。一般的にも感覚的にわかりやすい体系化されたビールのスタイル別のカテゴリーさえないように思う。実際、ブルワー同士で集まって話ても、100%直感的に理解できるカテゴライズってできなかった。

一般的な官僚は、クラフトビールは成長産業じゃないと思ってる。そりゃそうだ。20年やってもまったく伸びてない。
だから、税制を優遇したり緩和して守ったところで大した意味はないと思ってる。
きっとビールの税制は変わらないだろう。
日本のクラフトビール業界は全然明るいわけじゃない。



ここまで書きかけだったわけですが、どこにオチを持って行きたかったのか覚えてない。笑
たぶん、だからこそブルーパブがおもしろいんじゃないか、
という話になる予定だと思うんだけど。


最近は思うのは、ビールの作り方だけ勉強してもだめなんじゃないかということ。
コストを抑えて自分の思うビールを作るための、場所・設備の設計やマネジメントの能力も必要だろうと。
仕込みと発酵管理において、どの行程にこだわるべきで、どこに投資しないと品質が保てないのか、今の知識じゃまだわからない。
これは経験も必要だと思うけど、多くのブルワーは一つの醸造所、1つの設備に慣熟してそれに合わせて製品を造るから、設備が変わるとまたそれに合わせて工程のポイントをさぐっていかなきゃいけない。と思う。ここはセンスも問われる気がするなぁ。

というわけで最近は、具体的に醸造設備をどうやって構築するか、を考えてます。
会社の倉庫にゴロゴロ転がってる小型のタンクやら仕込釜を想定に入れて、それでやるならどういう設計にするのがベターか、というシュミレーション。
釜やタンクは、必要ってわかりやすいんだけど、
考えていくと、マッシュやウォートの移送はどうしよう、とか、冷却はどういう方式にすべきか、とか、発酵で温度管理はどうするか、貯酒とパッケージングとサービングをどうやってまとめようか、とか。
サニタリーやメンテナンスまで考えたらもっと複雑になりそうだ。うーん。
飲食スペースまで考えて一緒に構築していかないと、無駄も出てきそうだし、、、これがビジネスモデルとしてまとめられたらめっちゃおもしろいと思うんだけどな!
という妄想の日々です。
posted by koji at 23:21| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月14日

ビールの基本技術 そのB

煮沸工程
@水分の蒸発
Aホップの苦味成分の変化と麦汁への溶解(苦味の付与)イソ化
Bタンパク質の熱凝固(ブルッフの形成)
タンニンは80%が麦芽由来、20%がホップ由来であるが、ホップ由来のタンニンの方が反応性に富む。有効に析出させる最適化pHは⒌2とされる。
C麦汁色度の上昇メイラード反応によるメラノイジン生成とタンニンの酸化
D還元性物質の生成 メラノイジン。香味耐久性向上
E麦汁の殺菌
F酸素の失活
G揮発性物質の揮散
SMMが熱分解してDMSとなり揮散する。

麦汁煮沸時間、1〜2時間 蒸発率時間当たり8〜10%が妥当

ホップ添加は、最終製品への苦味価移行率を監視しながら量を決める必要がある

煮沸後、冷却
ブルッフを熱トルーブという。酵母に吸着して発酵を妨げる。
冷却、エアレーション(溶存酸素濃度が8〜10ppm)
冷トルーブの除去。冷やすと析出する。

仕込み習得率を74〜79%が一般的


ビール酵母
上面発酵酵母と、下面発酵酵母の両者の違いの一つは、メリビオース資化性があり、下面発酵酵母は資化できるのに対し、上面発酵酵母は資化できない。

ビール酵母は、グルコースを最初に取り込み、細胞周期のサイクルが働き、その後、マルトースを消費して発酵を開始する。
マルトトリオースは発酵期間中に徐々に消費する程度であり、デキストリンはほとんど代謝できない。
ヘキソースは細胞膜を通じて細胞内で代謝される。

酵母は好気的条件下でも、嫌気的条件下でも代謝を行う。酸素があると呼吸を開始しTCAサイクルにてエネルギーを取得する。

酵母は増殖に窒素を必要とする。麦汁中に十分なアミノ酸やペプチドがあることは、酵母の増殖や順調な発酵経過のためにも必要である。

アミノ酸はグループA〜Dの順で取り込まれる。

酵母の発酵代謝産物
@エタノール
資化性糖のEMP経路。高級アルコールの多くは、エーリッヒ経路、すなわちアミノ酸の脱アミノ化で生成したケト酸が還元されてできる。
Aエステル
大別して、酢酸エステル類(酢酸イソアミルなど)と、エチルエステル類(酢酸エチル、カプロン酸など)
Bアセトアルデヒド
酵母代謝の中間物質としてピルビン酸の脱炭酸によって生成。発効過程で減少する。
Cダイアセチル。グループBのアミノ酸の資化に影響される
DS系化合物
EDMS

酵母ハンドリング
発酵が終了したタンクより酵母を回収、洗浄、保存を行う。
発酵後、沈殿した酵母は、3つに区別される。
下層は、発酵初期に沈殿した酵母で低活性あるいは死滅した酵母。
中層は、発酵が最も進行したときに生じた沈殿酵母であり、性状は純粋培養された酵母に近い。また、不純物が少ない。
上層は、発酵が強い反面、ホップ樹脂などのデッケを多く含む。
回収の際、温度管理が重要。温度が高い(10℃以上)だと、酵母体内のグリコーゲンを用いて代謝を開始するため、代謝熱により、温度が上昇し酵母劣化を促進する。
この他、酸素の巻き込みによる代謝阻害、炭酸ガスによる加圧ストレス、移送配管によるストレスを回避する。
酵母は0〜2℃で保存。

発酵
前発酵には6〜10日を要する。
酵母は添加後、3時間弱で麦汁中の溶存酸素を消費し、不飽和脂肪酸を合成する。
次にアミノ酸を優先的に取り込み増殖に備える。炭水化物の代謝はまだ始まらない。この時期は約10時間。
15〜20時間後に白い泡で覆われる。湧き付き。
2〜3日でクリーム状の泡=クロイゼンが発生。
3〜6日後は発酵の最高潮。泡表面には、pH低下によって不溶化し析出したタンパク質、ポリフェノール、ホップ樹脂が付着し(デッケ)黄褐色を帯びる。
この際、冷却が強すぎると再び白い泡=ナーハシーベンを生じる、発酵遅延が起こる。
6〜10日後には、少量のマルトトリオースを残して発酵性糖が消失。
最終的には、添加の3〜4倍の量に酵母が増殖。

発酵貯酒中の物質変化
ビール酵母は単糖類から三糖類まで摂取する。
麦汁中の糖成分中最も多いマルトースよりもグルコースが優先的に取り込まれる。グルコースはマルトース透過酵素に対して阻害作用があるため、グルコースを多く含む糖質副原料を多量に使った麦汁では発酵障害が起こることがある。
三糖類のマルトトリオースが一番最後。
アミノ酸は菌体増殖と平行する。これに伴ってpHの低下が起こるが、有機酸の生成にもよる。pHが低くなれば、有害微生物への耐性や製品ビールの劣化臭物質の遊離にも関与する。

発酵区分の見直し
発酵:エタノール生成と香味成分生成
熟成:若臭物質の還元
貯酒:冷却による混濁物質の析出と炭酸ガスの溶解安定

エール酵母
発酵温度を高くすれば、より荒々しい発酵になるが泡立ちも多く、イソα酸が泡に移行し、結果として苦味の利用率が下がり、泡持ちは悪くなる。

ケルシュ
発酵最高温度が18〜22℃で4〜5日間で終わる。最高発酵温度が28℃に達することもあり、このビールの香りの華やかさは高温発酵上面発酵酵母による。
posted by koji at 22:38| 大阪 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月11日

ビールの基本技術 そのA

仕込みについて

醸造用水
総硬度=炭酸硬度+非炭酸硬度=Ca硬度+Mg硬度
炭酸硬度:一時硬度、総アルカリ度とも呼ばれる。水中のCa、Mgの重炭酸塩量を示す。この硬度は煮沸により容易に消失するが1日経てばほぼ元に戻る。
非炭酸硬度:水中のCa、Mgの硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩を示す。この硬度は煮沸によっても変化せず永久硬度と呼ばれる。
レストアルカリ度(RA)が高いとマッシュはウォートのpHが高くなり、影響がある。麦汁中のアミノ酸濃度の低下、伴って発酵渋滞。殻皮からの不要物質の溶出によるビールの保存性、味の悪化。
淡色ビールでは、炭酸硬度:非炭酸硬度=1:2.5〜3.5が望ましい。

副原料
ビールは「アルコール分が20度未満。麦芽、ホップおよび水を原料として発酵させたもの、または、麦芽、ホップ、水および米その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。ただし、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の10分の5を越えないものに限る。」
政令で定める物品、麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、苦味料、着色料(カラメル)。

糖化工程
@でんぷんの分解
不溶性でんぷんを酵母が資化できる糖類へ分解する。
アミロースは水中でコロイド状となり、アミロペクチンは糊化する。その後、αアミラーゼにより酵素分解を受けマッシュの粘度は急速に低下、液化する。

Aたんぱく質の分解
高分子では水に難溶性であるため、可溶性となる低分子まで分解する。エンドペプチターゼ群としてのカルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ。
高分子は、煮沸工程の熱凝固などで取り除かれるが、一部はビールに移行し、濁りの原因となる。
中低分子は主としてビールの泡もちに、ポリペプチドはビールの旨み、濃醇さに関与すると言われる。
アミノ酸はビールの味に関与するほか、栄養源として酵母代謝、香気成分生成に影響。
糖化工程で分離、遊離されてくる全アミノ酸の70〜80%は、酵素群の中のカルボキシペプチターゼによる。

Bヘミセルロース、ゴム質の分解
胚乳細胞壁はヘミセルロースとゴム質により構成。これらの物質はペントサンと、βグルカンから成る。
マッシュ65〜70℃でβグルカンソルビラ−ゼにより、タンパク質と結合されたβグルカンは遊離する。
既に主なエンドβグルカナーゼが失活しているため、このβグルカンは後工程まで残存する。
βグルカンの分解は製麦工程での分解が重要。麦汁、ビールの粘度が上がり、ろ過渋滞を起こすとともに、凍結混濁を引き起こす。

2014-02-11 18.18.05.jpg

淡色ビールの場合、粉砕原料100kgに対して350〜450ℓ、濃色ビールでは、300〜350ℓを使用する。

デコクション。マッシュの一部を煮沸する。麦芽、副原料のでんぷんを糊化、液化を進行させ糖化を容易にする。メラノイジンの生成、殻皮の内容物を浸出。酵素を失活させ、酵素反応を抑制する。
インフュージョン。麦芽の酵素によってのみ、成分溶解や分解を起こさせる方法のため、煮沸による物理的溶解作用はない。副原料使用に向かない。
デコクションよりインフュージョンの方が、20〜50%省エネ。だが、エキスの習得率がやや低くなる傾向がある。デコクションの回数を増やすほど、殻皮成分の溶出が増え、濃く力強い味に向く。

ろ過工程
ロイターろ過槽の標準的な単位面積あたり負荷の麦芽使用料は、乾式粉砕加湿なしで160〜175kg/u。
スパージング湯量は、一番麦汁エキス濃度によって異なる。煮上がり12%程度であれば、一番麦汁のエキス18〜20%で麦汁量の1.2〜1.5倍量が洗浄湯の目安。
マッシュの導入、静置で3層に分かれる。一番上層にはタンパク質と細かな殻皮からなる薄い層は、ろ過渋滞となるため全面に均一となるようにする。表層の厚さは、30〜40cm。
ろ過流量は過剰にすると麦層がしまり、濾過抵抗となる。一番麦汁濾過は、麦層の表面が見えるところまで。
スパージングは、2、3回に分けて行うことが一般的で、エキス習得率が高い。ろ過麦汁エキスがほぼ1%以下になる。

麦汁の清澄度。濁度の高いウォートは濁り成分が多いため、ホップの苦味成分がその濁り成分に吸着され、苦味利用効率が下がる。また、リノール酸やパルミチン酸などの脂肪酸が増加するため、香味耐久性が劣る。
濾過槽中でのマッシュの温度が高いほど粘度が下がり、ろ過速度が上がる。αアミラーゼの失活する80℃より低く、78℃で管理される。
posted by koji at 18:18| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月06日

ビールの基本技術 その@

ビール酒造組合 国際技術委員会編

P3
胚乳は外周を取り巻く糊粉層とデンプン貯蔵組織の二つの組織で構成される。
コムギでは、糊粉層は1層の細胞から成るのに対し、オオムギでは2層以上、ビール麦では時に3層以上の多層構造の組織として観察される。
種子が給水すると、胚盤からジベレリンや加水分解酵素が分泌され、胚乳にある貯蔵養分の分解・可溶化が促される。可溶化した物質は、櫛状に変形した上皮細胞から効率よく吸収され、幼芽などへ転流されて成長に使われる。
糊粉層からはジベレリンがシグナルとなってαアミラーゼやβグルカナーゼなどが合成されデンプン貯蔵組織へ分泌される。オオムギでは、加水分解酵素が胚盤と糊粉層の両方で盛んに合成分泌されるため、胚盤に接する部位と糊粉層に接する部位から同時に、胚乳貯蔵物質の分解が進行する。ところが、コムギでは加水分解酵素は主に胚盤から分泌されるため、物質の分解は胚盤付近から進むのみである。
胚乳貯蔵物質の分解効率という視点からオオムギの方がビール原料にふさわしい。

リントネル「麦芽はビールの魂である。」
ビールを造る上で、原料から糖やアミノ酸を得るための酵素は、オオムギ自身の生命活動のために生成活性化させた酵素であり、我々はそれを拝借してビールを造っている。
ビールは大麦の発芽に伴うダイナミックなメタボリズムを余すところなく利用して造られていると言える。麦芽は単なるデンプン原料ではない。ビールの醸造工程の推進役として、また、ビール独特の香味の源泉としてその特性はフルに活かされる。

ビール麦として選ばれるオオムギは、エキス分=炭水化物80%に富み、粗蛋白含量も相当な範囲10.5%程度にコントロールされる。

発芽中の麦は緑麦芽と呼ばれ、発芽中に起こる貯蔵物質の変化を総称し「溶け modification」という。
「タンパク質の溶け」「炭水化物の溶け」「その他の物質の溶け」に大別される。

DMS(dimethyl sulphide)はビールに不快な香りを与える物質で、その前駆体のSMM(s-methyl-methionine)は発芽中に生成される。SMMは焙焦の際に分解されてしまうが、焙焦温度が低い場合や、焙焦時間が短い場合には分解されず、SMMは酸化され一部はDMSに変化し、麦汁を経てビールに残る。

酵素力はジアスターゼ力とも表現される。麦芽分析において酵素力として測定されるのは主にβアミラーゼ力である。
αアミラーゼは発芽中に活性化し、焙燥時の熱にも耐性をもつため麦芽中にも十分に存在するが、βアミラーゼは熱に弱く、焙焦温度でも失活しやすい。
そのため、酵素力を上げるには溶けを進め、焙燥では低温かつ十分に乾燥を行い、焙焦温度が高くなりすぎないようにする。

ロースターを使用する麦芽
クリスタル麦芽には様々な色度のものがあり、ビールに濃醇さと麦芽の香味の特徴を与える。
緑麦芽または焙燥した麦芽に再び水分を与え、水分含量を高めてから回転式ロースターに入れる。
密閉したロースターの仲で60〜75℃で1時間保ち糖化酵素を働かせ、デンプンの液化と糖化を起こす。その際、水溶性エキスが増加してタンパク質の分解も進み、可溶性窒素が増加する。
次に密閉状態を開放して水分を飛ばしながら加熱して着色工程135〜180℃とする。カラメル物質が糖から生成される。
良いクリスタル麦芽は、粒全体に膨らみを持ち、切断すると殻粒内部はガラス状で焙焦香がある。

ロースト麦芽
着色用に原料の1〜2%の範囲で用いられる。
60〜80℃で糖化休止をとり、その後160〜200℃まで上げる。200℃でメラノイジン形成が進み焙燥香味のある成分が生成される。穀粒内部がコーヒー色になるまで220℃程度。

小麦麦芽
高分子蛋白が多く、泡持ちが向上する。冬小麦が蛋白が少なくエキスが高い、色度も低い。


ホップ、和名「せいようからはなそう」
8〜12mまで成長する。ビール醸造には未受精のものが好まれるためホップ畑には雄株は存在しない。
8月に毬花が形成され収穫期を迎える。

ビール醸造にとって重要な成分は、樹脂(苦味成分、α酸β酸)・精油(芳香成分)・フェノール成分(タンニン)である。

α酸が麦汁煮沸中に熱反応によって異性化しイソα酸になる。α酸に比べて溶解度が10倍以上増す。
長期間保存=酸化して使用する場合には、β酸の酸化物もビールの苦味に関与すると言われる。

ビールのフェノール成分は麦芽が7〜8割、ホップから2〜3割。
フェノール成分は低分子は抗酸化力、高分子はビールの着色と濁りの形成に関与している。
香味的には、渋味と味の厚みをビールに付与する。
フラボノイドは麦芽には含まれずホップのみ。
ホップ由来のポリフェノールにはタンパク質と結合して不溶化するものがある。これによりビールを濁らせるタンパク質が醸造中に部分的に泡の表面に分離してきて滓や沈殿として除去される。
ホップを添加した方が清澄度が増す。

α酸自体はあとに尾を引く苦味を呈しビールへの溶解度も低い。

添加したホップに含まれるα酸のうち、イソα酸としてビールに移行するのは3〜4割であり経済的とは言えない。

イソα酸と麦芽由来の泡タンパク質とが水素結合して複合体を形成するため泡持ちの良くなる。

ホップの芳香を強調したビールは麦汁煮沸終了直前に添加する方法レイトホッピング、ドイツピルスナー、貯酒工程や出荷される樽に添加する方法ドライホッピング、英国のエールなどがある。

日本の酒税法では、発酵終了以降の工程でホップは添加できない。

ホップの加工
@ホップ成分の均一化
A容積の低減
B酸化耐性の向上
C必要成分の利用効率の向上
ペレット、エキス。
精油成分を精製。ホップオイル。
posted by koji at 23:33| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

やさしい醸造学 抜粋そのB ビールA

ビールの香味成分はほとんど醗酵中のアミノ酸代謝に関連して形成され、酵母の増殖期に起こる。しかし、そのほとんどすべての成分のビール中の存在濃度がその弁別閾値より小さい。
代表的な高級アルコール類と呼ばれるプロパノール、イソブタノール、イソならびに活性アミルアルコールなどは、主としてアミノ酸の脱アミノ反応によって生成される。
特にバリンはロイシンやイソロイシンのあとに取り込まれるアミノ酸で、ビール中に残存する割合が高いアミノ酸である。
ビールの香味評価を低下させるダイアセチルはビール中の含有量がその弁別閾値に近く、その素材となるアセト乳酸はバリンの代謝と関連している。アセト乳酸濃度は、醗酵中のアミノ酸消費が旺盛でバリンが消費し尽くされてしまうほどであっても、逆に低調でバリンが多く残るほどであっても、顕著に高くなってしまう。アセト乳酸濃度は熟成の所要期間を決める重要な指標であるので、残存アミノ酸濃度、バリン濃度が一定になるように醗酵を管理することがいかに重要であるかよくわかる。

果実臭などのエステル類のビール中の濃度は弁別閾値と近い。酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチルのような構成分子は炭素数がわずかに違うだけで同じ構造であり、匂いの質が似ているため、匂いの強さはそれぞれの総和に比例してくる。
酢酸エステルは、TCAサイクルが回らなくなり、アセチルCoAが蓄積することにより生成が始まる。一次醗酵の後半期、酵母の増殖が定常期に入りかけた頃からその生成が始まり、醗酵が長く続けば続くだけ多く生成される。
麦汁中の溶存酸素や不飽和脂肪酸の濃度が高い条件では酵母の増殖が長期に続くのでエステル類の生成は少ない。また、麦汁中の不飽和脂肪酸の濃度はその混濁度と相関が高いので、透明度の高い麦汁はエステル生成により適していると言える。
酵母が弱った状態で醗酵を続けると多く生成されることが観察されており、吟醸酒づくりの条件と似ている。

一次醗酵後期では、麦汁中には酵母の利用できる酸素は存在しないので、酵母は麦汁中の酸素に代わるあらゆる化合物を利用し始める。
酵母にとって酸素の役割は、エネルギーを体内でつくる過程から生じる酸素を体外に排出するための水素との結合相手であり、水素と結合できるものであれば何でも酸素の代わりとなる。
そこで、アルデヒド類やケト酸類は再び取りこまれて水素と結合=還元していく。
硫化水素やアセトアルデヒドなどの沸点の低い生産物は、炭酸ガスによる洗浄効果により揮散して濃度を低下させる。
ダイアセチルの前駆体であるアセト乳酸は、この時期には自然的な分解反応のみが進行しており、その結果生ずるダイアセチル、アセトインも水素と結合してアルコール類となる。これが見かけ上、アセト乳酸が酵母によって消費されていくように観察される。
この熟成の時期での諸反応は変化されるものの濃度がごく低いため、高濃度の酵母は必要なく、次回の醗酵のために活性のうちに回収する必要がある。また、酵母の死滅はビール品質を損なう原因となるため速やかに若ビールから分離する。

反面、アルコールの生成は酵母の増殖とは無関係に醗酵全期間を通して行われるので、香味成分の管理には不十分であり、酵母の増殖状態=アミノ酸代謝によって管理する必要がある。

一次醗酵後期に温度を高める、冷却開始時期を遅らせると、これらの熟成反応を促進することができ、シリンドロコニカルタンクの普及以来用いられている。
アセト乳酸濃度が一定値以下でビールは急冷される。
シリンドロコニカルタンクは、冷却ユニットが直接タンクに巻きつけてあるので、若ビールの温度の変更をより自由にできるためこのような熟成促進法ができる。
ビールの熟成中の反応のうち、アセト乳酸の分解は最も進行の遅い反応であるため、この分解を速めてやれば熟成期間全体を短くすることができる。

シリンドロコニカルタンクは、建設コストが安く、作業環境がよく、冷却効率もよい、敷地面積も少なくてすみ、自動洗浄が可能なシステム。
深さ10〜15mにもなるこのタンクの形状が酵母に与える影響は、何よりその深さによる圧力の影響がある。
アルコール醗酵力よりも、酵母の増殖力により大きな影響を与える。したがって、アルコール醗酵は順調に進行していても、酵母の増殖は抑えられているため、香味成分の生成度合には顕著な影響が出る。
むしろこの差を商品特製として、アルコールは高くとも香味成分の少ないあっさりしたビールを作りだす。

若ビール中は、酵母が水素が与えられるものはすべて与えられているため非常に還元的=酸素欠乏状態である。
ポリフェノール類やメラノイジンも還元されて赤みが消え、ピルスナー特有の黄金色はこの段階でできあがる。
二次醗酵中には、酵母の死滅が始まりアミノ酸や核酸が溶け出してくる。これらはうまみのある成分なのである程度の溶け出し=自己消化は香味の熟成にプラスであるが、過度になると清涼感を損ない酵母臭となる。
pH値も上昇しタンパクやタンニンが再び溶け、これらは香味を低下させる。

ビールの苦味成分はイソフムロンがその代表的なものであるが、ホップ中には似た性質を持つ数々の類縁化合物が存在する。ビールの苦味は、すぐに口の中で消える。ホップの苦味成分は単独でビール中に存在するのではなく、タンパク質などの高分子と結合して存在しているため、苦味を感じる舌の味蕾のタンパク質と強く結合することがない。このためキレの良い苦味が成り立つ。

ダイアセチル臭は、乳酸菌が工程中で汚染した時に出現する。漬物臭やチーズ臭的な匂い。
カビ臭は原材料、王冠栓、コルクなどから来る。
未熟臭は、ダイアセチル臭の他、アセトアルデヒドのグリーンなにおい、すっきりしない蒸れた臭いの硫化水素臭などがある。
ポリフェノールを脱炭酸する能力のある異種酵母が汚染してスモーク臭がつく。
これらは新鮮なビールでも検出される。

古いビールでは、酸化臭、日光臭など。
長期の保存で酸化が進むと、カードボード臭、その後醤油のような臭いが強くなる。
ビールに光が当たると、タヌキやキツネなどの臭いがする。イソフムロンが光によって分解したあと、ビール中の硫黄化合物と反応して3−メチル−2−ブテン−1−チオールを生成する。

ビールの泡は、ジョッキの中でビールの蓋の役割を果たし酸化による変質を防ぐ。
泡の部分は、高分子のタンパク質とビールの苦味質であるイソフムロンの濃度がビール中の値より高い。これら両者が結合して泡を安定化させる表面活性物質を形成する。
ビールの粘度は泡持ち性と非常にきれいに連動する。ビールの粘度は麦芽由来のグルカン含有量によるが、グルカン含有量が高いと麦汁やビールは濾過しにくくなる。
濁った麦汁は脂質の含有量が多く、泡持ちが悪い。醗酵の際にできる泡が多いと泡タンパクが減少するので製品ビールの泡持ちが悪くなる。

上面醗酵では醗酵温度が高く、泡を酵母回収のために取り除くため、泡持ちは非常に悪くなる。
小麦麦芽はタンパク質の分解が少ないので、色は淡く、高分子タンパク質が多いため泡立ちが良い。

窒素ガスは炭酸ガスに比べてはるかに水溶性が低いので、窒素ガスの泡は非常に安定している。
窒素ウィジェットは、内部に窒素を封入したプラスチック製のボールのようなもので、缶を開けると圧力差によって内部から細かい窒素の泡が吹き出す。
posted by koji at 11:51| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

やさしい醸造学 抜粋そのA ビール

麦芽には、ビール大麦と呼ばれる大粒の大麦が多く用いられる。特に二条大麦が多い。
発芽させるために、収穫やその後の取り扱いは慎重に行われる。早刈り、胚にダメージを与える脱穀、乾燥などは発芽力を低下させる。
畑での倒伏などによるカビの汚染もビールの品質を低下させる。
したがって受け入れ検査は現住にされ、収穫された大麦のうち品質の良い一部のもののみが麦芽製造に回され、その他は飼料用等になる。

製麦は、浸漬、発芽、乾燥の3工程。浸漬に先立って粒の大きさをそろえるために選粒する。発芽の進行をできるだけ揃えるためである。
浸漬は水分含42〜45%になるまで行われるが、大麦の呼吸が盛んになるため、間欠的に水を切って通気する。
発芽は通常4〜6日かけて行う。幼芽が大麦粒の長さの3分の2程度になる。
乾燥は、酵素が熱で失活しないように、まず通風のみで水分を低下させ、その後温度をあげていく。ピルスナーの麦芽で82〜83℃で3時間ほど乾燥される。
最後に幼根を取り除かれる。

麦芽が水分を吸収し発芽をはじめると、胚において植物ホルモンの一種、ジベレリンが合成される。これが水分によって運ばれてアロイロン層に達し、それが刺激となってアルファアミラーゼなどの酵素合成を開始する。

発芽中は、酵素が生成するだけでなく、デンプンを含む胚乳も分解されやすい形に変質する。細胞壁や細胞間物質が分解されるてデンプン粒がほぐれてくることを「とけ」といい、発芽工程の管理はこの「とけ」の評価により行われる。
細胞壁や細胞間物質が分解されると、粘性のあるグルカンなどの多糖類となり、麦汁のろ過を左右するので重要である。
麦汁中のアミノ酸の約3分の2は製麦中に生成され、糖化工程ではむしろ少ない。

醸造用水の性質はビールの品質と密接に関係している。
容器へ詰めたあとも酸化の原因となる鉄イオン。珪酸イオンも酵母の醗酵力を低下させる。
逆に亜鉛イオンは酵母の醗酵力を強化するので、高濃度麦汁を醗酵させるときなどには強化する必要がある。
塩素イオンは香味をマイルドにし、硫酸イオンは辛口にする。
ミュンヘンで作るピルスナーは、重炭酸イオンの多い=一次硬度の高い水であったため、もろみのpHを高めて、麦芽の殻皮からタンニン成分などを多く溶け出させるとともに、麦汁煮沸の工程でアミノ酸と糖とのアミノカルボニル反応を促進し色を濃くする。
ピルゼンでは、一次硬度の低い軟水を使ったため淡色のピルスナーができあがった。
また、硬水であっても、硫酸カルシウムなどを多く含む水=永久硬度の高い水を使った場合には、麦芽に由来するリン酸イオンと結合して不溶性となりpHを低下させるのでビールの色は淡色でしまった味のビールとなる。

ホップは、受精させると精油の成分が悪くなるので雄株をすべて排除され、未受精のまま成長させる。黄色い油滴状のルプリン粒が形成され、これに苦味のもととなる樹脂と香りを与える精油が含まれている。

上面発酵酵母と下面発酵酵母とが区別されているが、区別のもととなった相違点はラフィノースという3糖類に対する醗酵性で、前者が3分の1しか醗酵できないのに対して、後者は全部醗酵できる。
下面発酵酵母は、上面発酵酵母とシェリー酵母との両方の特徴を有する。

麦芽の粉砕は、なるべく細かくなされた方がデンプンの糖化は効率よく行われるが、糖化後の麦汁のろ過速度が遅くなる。
特に殻皮はろ過材になることとタンニン類などの溶け出しを抑えるために、なるべく細かく粉砕しないようにしておきたい。さらに、胚乳区分も残存している細胞壁や細胞間物質を形成する粘性のある多糖類がろ過を妨害しないように、なるべく細かく分散しないようにしておきたいため、粗挽きの状態で糖化槽に入れられる。
製麦で「とけ」がよく進行していれば粗挽きでも充分デンプン粒は溶け、エキスは順調に得られる。

上面発酵では、1つの釜でだんだんに温度を上げていくインシュージョン法が多く用いられる。
対して下面発酵では、デコクション法という方法を採る。2つの釜をつかって一部を低温で保持し、一部を煮沸、これをまた合わせて温度を上げていく方法である。
酵素活性を最大限に引き出すために、酵素が熱変性してしまう温度と非常に近い温度で管理される。
大麦中には2種類のデンプンがあり、片方のデンプンの糊化温度が61〜62℃の大粒デンプンが90%、他方は75〜80℃で糊化する小粒デンプンが10%。この小粒デンプンは、デコクションでの移し替えにより煮沸されたマッシュの中のものだけが糊化される。しかし、そのマッシュの中の酵素は熱によって失活しており、もとのマッシュと合わされることによってのみ糖化される。
できあがった麦汁は、麦芽糖が醗酵性糖の中の大部分を占め、全エキス分の中の醗酵性糖の割合は60%となる。アルコール醗酵されずに残るエキス中の大部分はデキストリンが占める。

麦汁が冷めて粘度が上がらないように、熱いうちにろ過される。麦汁の濁り成分は脂質含量が高く、泡持ちや香味の安定度に影響し、醗酵の進行にも影響するのでできるだけ透明な麦汁とする。
マッシュのエキスが大部分抽出されると、ろ過層には新たにお湯が通されて残りのエキス=二番麦汁が抽出される。二番麦汁は麦汁のpHを低くするアミノ酸や酸がだんだんなくなってくるため、pH値が高くなってくる。そのため、殻皮からタンニンが溶け出してくるので、ある程度の糖度まででやめる。

ろ過された麦汁には、ホップが加えられ煮沸される。
ホップは苦味、ホップ香の付与、ビール乳酸菌汚染の防止、泡持ち性の向上など重要な働きをする。
激しく煮沸対流させることによってそれ以外に、酵素の失活、タンパク質の熱凝固による清澄、殺菌、臭気の揮散、アミノカルボニル反応による色の形成などの目的がある。
銅釜の場合には、麦汁中の硫黄化合物が取り除かれ、香味がすっきりする。

ホップの苦味成分は、煮沸されることによって初めて苦味を有する物質に変化する。その代表的なものはα酸のフムロンという化合物であり、イソフムロンという物質に変換され苦味を呈する。
α酸はもともと樹脂であるのでその水溶性は大きくない。麦汁中に存在する各種の成分と結合してビール中の濃度はだんだん低下していく。製品ビールには、使用したホップのα酸全体の30%程度しか移行しない。

ホップの香りは、ルプリン粒内に存在する精油成分に由来し、各種の炭化水素化合物、テルペン類からなる。水溶性に乏しく、麦汁中で煮沸されると水蒸気とともに大部分が揮散するが、保存中などに酸化して変質すると、親水性を持ち揮散しにくくなる。

ビール醸造では、他の醗酵工業の場合に比べて高濃度の酵母を接種に必要とするので、大量の酵母を活性の高い状態で保存している必要がある。

ビール乳酸菌の汚染があると、2次醗酵タンクへ移行し、若ビール中で増殖し変質を招く。最初は蒸れた臭い=ダイアセチル臭の発生であり、汚染が進むと酸度の増加、ビールの濁りが発生する。

煮沸された麦汁は冷却され、下面発酵では5〜10℃、上面発酵でも15〜20℃にされる。この冷却によりさらに混濁が生じ、脂質含量が高く、特に不飽和脂肪酸が多いので醗酵異常、泡持ち低下や香味の変化の原因となるため除去される。

酵母が添加される前には、麦汁に酸素が供給される。この過程での麦汁はホップが添加されているとはいえ、栄養分が十分にあり、pHも高く、酸素も供給されているので雑菌汚染のリスクが高い。
一次醗酵で酵母は約4倍に増殖する。この為には、麦汁に一度空気を含ませただけでは充分ではないので、再度の通気が酵母添加後しばらくしたころに行われる。
高濃度の麦汁を直接醗酵させる合理化法の場合には、空気ではなく純酸素が利用される場合が多い。

醗酵が始まるとともに熱が発生し温度が上昇する。10時間ほどの適応期の後、増殖し、3〜4日間で終了し、このころから酵母細胞同士の凝集と沈降が始まる。

酵母による糖の取り込みは、まずブドウ糖から始まる。浸透による取り込みから、エネルギーを消費して行う能動輸送まで積極的に取り込まれる。
ブドウ糖を消費しつくしたあと、麦芽糖の醗酵が始まる。下面発酵酵母は、麦芽糖にもう1分子ブドウ糖が結合した3糖類マルトトリオースまで醗酵可能であり、麦芽糖の醗酵にやや遅れて進行する。
二次醗酵が終わった最終製品ビールの残存エキス分の大部分は4糖類以上の高分子のデキストリンが大半となり、その他にタンパク質が少量残る。これがビールのコク味に関係する。

麦汁中に存在したアミノ酸の半分から3分の1は残存するが、残りは、酵母の増殖のために摂取される。アミノ酸の減少により、麦汁のpH緩衝能が低下しpH値は低下する。

また、酵母の増殖期には、有機酸の生成によるpH値低下も起こる。これは、呼吸系の活性が遺伝的に弱くTCAサイクルが充分に回転しないため、解糖系の下流でピルビン酸やアセチルCoAが滞留し、乳酸や酢酸に変化するためと考えられている。醗酵温度が高いと乳酸が、低いと酢酸が多く生成する。pHの低下によりビールの雑菌汚染リスクは大きく減少する。



posted by koji at 15:05| 大阪 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月11日

やさしい醸造学 の抜粋その@

結局、図書館で借りてきた本なわけですが、「やさしい」と書いてる割にかなり細かく醸造全般について書かれています。
そして著者が大手ビールメーカーの人物のため、その大半をビール醸造について書かれています。
もちろん大手が作る大量生産ピルスナーの製造についてが多いのですが、それ以外でもかなり基礎的な部分について記述が多いので、自分用のメモとして抜粋します。





胚乳の中にはデンプンが詰まっている。
デンプン粒は結晶構造をしたデンプンからできており、煮沸されることによりその構造が崩れて、麦芽や麹菌の酵素に分解されるようになる。これを糊化。

胚乳の一番外側には、種皮・果皮・アロイロン細胞という3層の細胞層が存在する。
このアロイロン細胞は、発芽に際して胚乳の成分を分解する酵素を生産する役割を果たす。
タンパク質、ビタミン、塩類などの栄養価に富み、糠を構成する成分。アルコール醗酵においては、多くの酒類の醸造に際してこの成分はあまり歓迎されない。味噌や醤油の醸造においては逆に必要となる。

ポリフェノールは、製品の保存や熟成期間などに変化し、着色の原因、タンパク質との結合で混濁を形成する。
この反応は自然に発生するが、麹菌や麦芽がもつポリフェノール酸化酵素によっても促進される。が、この酵素は酸素がなければ働かない。
ポリフェノールの一種、フェルラ酸は、ある酵母の酵素によって変化し、4−エチルグアヤコールという物質になり、スモーク臭、フェノール臭を与える。

水質に鉄分が含まれると、醸造物の最後の製品化の段階で酸素に触れ、製品が酸化されて変質するのを促進する。色、香味の変化、濁りの発生など。

カルシウムや重炭酸塩類はもろみのpHに影響を与える。
ビールは4.2程度の酸性、ワインで3.2ほど。
同じ栄養分があっても、pHによって生育する微生物が違い、それにより醸造物の香味も違ってくる。
酵母や麹菌は酸性条件下でよく生育する。細菌類は酸性に弱いものが多い。中性に近いと、アミノ酸を分解して異臭をつくる細菌類が繁殖し香味が悪くなる。

アルコール醗酵を行う酵母は酸素のないところでも生存でき、酵母の中ではまれなものである。
麹カビは酸素のあるところでしか生育できない。菌糸の先に、頂囊という膨らみを作りその先に分生胞子をつくる。この胞子は、細菌類の胞子と違い耐熱性がない。

微生物の増殖は、まず適応期があり、この間で細胞内の態勢を整える。だいたい1世代の増殖に要する時間程度である。ただし、微生物の活性が低下していれば適応期が長くなる。
その後、倍、倍と増えていく。これを対数増殖期と呼ぶ。この期間に、細胞内で各種の物質変化=代謝が盛んに行われるので、各種の生成物が細胞外に出てくる。これが醸造物の香味成分となる。
その後、栄養分がなくなり、排泄物がたまる、微生物数が多すぎると増殖は止まる。これを定常期と呼ぶ。
この期間には、細胞内に貯蔵物質を蓄積するが、環境がさらに悪化するとその貯蔵物質を消費し始め、それもなくなると死滅が始まる。さらに、細胞膜が働かなくなり、自らの分解酵素によって細胞内成分の分解と溶出が始まる。
醸造物のなかでは、これがアミノ酸や核酸、ビタミンが増える原因となる。

通常、生物は、呼吸によってATPを作る。解糖系、TCAサイクルで脱水素、脱炭酸、酸化的リン酸化を経て完全に分解されると、最終的に水と炭酸ガスになる。
アルコール醗酵を行う酵母菌の場合は、TCAサイクルにまで入って分解される養分の量がごく少なく、その手前の解糖系で得られるピルビン酸がアセトアルデヒドまで分解され、エチルアルコールにまで変換される経路が非常に太い。
なので、酵母の場合、糖が分解されて得られるATPはブドウ糖1分子あたり2分子のみであり、TCAサイクルで水と炭酸ガスにまで完全分解されて38分子のATPが生成されるのに比べると非常に効率が悪い。
そのため、酸素がある環境で糖を完全分解=呼吸できる他の微生物が入ってくるとそちらが優勢に増殖し、酵母は働けなくなってしまう。
雑菌の侵入を防ぐことと、酸素を必要以上に与えないようにするのはこのためである。
ちなみに酢酸菌はアセトアルデヒドを酸化して酢酸にする力が強く、エネルギー生産効率も酵母や乳酸菌より高いため、アルコールを酢酸にまで酸化してしまう。

酵素はタンパク質である。
アミノ酸がペプチド結合をつくり鎖状に繋がったもので、立体的な構造をしているが、この構造が酵素としての作用を生む。この構造が変成すると酵素の作用はなくなってしまい、失活する。
麹菌や麦芽の酵素は、細胞の外へ出て働く特別なものである。
細胞内の酵素は、細胞内の環境がほぼ中性であるので中性でしか働かないが、特に麹菌の出す酵素は、清酒醸造用のもろみのような酸性の強い条件下でも働くことができる。

醸造用のアルコール醗酵性酵母は糖の醗酵力が特に強く、パスツール効果(酸素があると呼吸をし、ない状態では醗酵をするという代謝の切り替えを行う性質)をほとんど示さず、酸素がある環境下でもアルコール醗酵を行う。

麹菌はデンプンやタンパク質を分解して低分子化する性質が特に強い。分解産物である糖やアミノ酸は、本来的には麹菌に取り込まれて栄養分として利用されるはずのものであるが、清酒醸造の場面ではそこに酵母菌を存在させて、麹菌が自分のために生成した糖類を酵母に横取りさせてアルコールを作らせる。

糊化されたデンプンは、ブドウ糖が互いにつながった位置から、酵素によって細かく切断されるが、それぞれ違った酵素が関係する。

アルファアミラーゼ。長いデンブンの分子を大雑把にぶつぶつと切断。液化酵素。麦芽のアルファアミラーゼは耐熱性が高い。切断されて低分子化したデンプンはデキストリン。

ベータアミラーゼ。デキストリンの端からブドウ糖を2分子ずつの単位で切り取っていく酵素。マルトース=麦芽糖を生成する。麦芽はこの酵素力が強い。麦汁にはこの糖が多く含まれており、醗酵させるために、麦芽糖に対する醗酵力の強い酵母が選ばれる。逆に麹菌はこの酵素の活性が非常に低い。ベータアミラーゼの耐熱性は高くない。このため、糖化の際の温度が正確にコントロールされていないと、糖分の生成率が悪くなる。

グルコアミラーゼ。デキストリンの端からブドウ糖を1分子ずつ切り離していく酵素。清酒用の麹菌はこの酵素の活性が強い。逆に大麦麦芽ではこの酵素活性が弱い。

リミットデキストラナーゼ。枝切り酵素。デキストリンが上記の酵素に分解されていくと、アミロペクチンからのデキストリンの場合には、枝分かれしているところでそれ以上分解が進まなくなるが、この分岐点を切断する酵素。これによりデンプンの完全な分解が行われる。この酵素も耐熱性が高くない。

酵母菌は糖分の多い酸性の液体の中では、ほかの微生物よりも優先的に増殖し、醗酵する。カビも酸性条件下や糖分濃度の高いところは増殖するが、酸素が十分にないと増殖できない。
酵母菌がアルコール醗酵を始め、糖液中の酸素を消費し尽くして炭酸ガスを発生してるところではカビは生育できない。
細菌類も酸素の少ないところで生育できるものは少なく、それ以上に酸性条件下で生育できるものが少ない。また、糖液中のような浸透圧が高い条件下では生育できない。このため、果汁やハチミツ液の中は特に酵母が優先的に生育できる。太古からワインなどは品質のよい酒ができやすかった。
これに比べると穀物からの酒造りは自然な方法で高い糖濃度を達成できず、雑菌の汚染を受けて、おいしく飲める酒をつくることは簡単ではなかった。
ワインは上流階級、ビール労働者階級の酒といわれた所以はこれであるとも言われる。
技術的に困難な穀物酒を作るということは古代においては一種の魔法のようにもみなされ、これが酒と神事のつながりになったという説もある。
中世ヨーロッパで専ら修道院でビールが作られていたのは、研究が専門的に熱心に行われていたことのほかに、炊事や育児のために果実や乳由来の野生の酵母菌や乳酸菌にまみれていた女性が修道院にはいなかったためとも言われる。たまたま酒造りに関わった女性が、前述のような理由で酒造りの不調との関連を咎められて、魔女にされてしまったという説もある。

ポリフェノールに乳酸菌の生育を抑える作用があることがわかっている。

嫌気的な環境下では、微生物は呼吸ができず生育は抑制される。しかし、この際に不飽和脂肪酸が与えられると酵母の生育が可能となる。不飽和脂肪酸が酸素の代役を果たす。濁った麦汁ほど脂肪酸含有量が高い。

窒素や硫黄を含む化合物は一般に匂いが強く、低分子で揮発性の高いものほど匂いが強い。また、反応性が強いのでより強い匂いを持つ化合物に科学的に変化する傾向も有する。
醗酵臭は、タンパク質やその分解物に微生物が作用したもので、腐敗臭に近い。酒類では嫌われる。
対して、炭水化物に由来する醗酵臭は穏やかなものである。
醗酵に際しての香味成分はわずかな例外を除いて、酵母が増殖をしている時期に生育し、増殖が終わると生育も止まる。

沸点の高い匂いの強い区分をフーゼル油と呼び、酒類の品質を左右する重要な成分である。高級アルコール類で、酵母によるアミノ酸合成の中間体としてか、脱アミノ反応によるものと2つの経路で生成する。
これらの高級アルコール類をもとにして、醗酵中には熟した果実様のにおい成分である酢酸エステル類が生成され、醸造物の品質と強く関係する。他に、脂肪酸のエチルエステルがあり、弱った酵母が醗酵する場合に生成される傾向がある。
アルデヒド類は容易にアルコールに還元されるため正常な醗酵ではその存在濃度は少ない。
乳酸菌が特徴的に作るにおいにダイアセチル臭がある。カラメル化反応によって化学的に生成する。

醸造物の中で起こる、アミノ酸と糖によるアミノカルボニル反応によりだんだん着色が進行する場合には、分子が簡単なものからだんだん複雑な大きな分子メラノイジンへと変化していくため、吸収される光の波長が増えていき色が濃くなっていく。
他に、ポリフェノール化合物がポリフェノール酸化酵素の作用により結合してメラニン様物質をつくる反応によって褐色反応が起きる。


箇所が多くて乱文になる。。読みづらくてすいません。また、そのA以降の投稿と一緒にレイアウト直します。
posted by koji at 18:25| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月21日

フルマッシング仕込みました

色々調べてみると、結局ホームブリューで練習するしかない!という結論に至りました。笑
というわけで実際にやってみます。
麦芽とホップと酵母をキットで販売してるところがあります。早速取り寄せ!

2013-05-08 22.37.55.jpg

かなり詳細に作りこまれたレシピが付属しております。
これは安心。

2013-05-17 09.02.44.jpg

麦芽は粉砕してある状態です。家で挽けるなら未粉砕でも。粉砕したら日持ちしなくなる。

2013-05-17 08.55.30.jpg

寸胴に水を入れて沸かします。
まずは麦芽を糖化!
寸胴の底に入ってるのはファルスボトムという麦汁を濾過するためのメッシュ。底部からシリコンホースで吸い出します。

2013-05-17 09.04.12.jpg

粉砕された麦芽。2kg弱で10リットルを仕込む予定。

2013-05-17 09.13.04.jpg

お湯が75℃まで湧いたら麦芽投入!

2013-05-17 09.13.50.jpg

お湯と麦芽の混合液のことをマッシュと言うそうです。
マッシュを混ぜるときは空気をあんまり入れないようにする。
酸化が品質劣化につながる。

2013-05-17 09.16.41.jpg

糖化酵素が働くのが66〜70℃。
低かったので慎重に上げていきます。
71℃をこえるとタンパク質である酵素が不活性になるので注意。
あーこの温度はスチームミルクと一緒です。タンパク質。

2013-05-17 09.22.12.jpg

この温度管理がけっこう大変だった。。。30秒加熱して攪拌、温度計測。火を止めてからも温度上昇が続く上、アルコール温度計での計測にも手間がかかる。

2013-05-17 09.32.09.jpg

糖化前のマッシュ
さらりとしてるけどすでにやや甘さはありました。

2013-05-17 10.26.54.jpg

こんな感じで温度を見ながら
ちなみに66〜70℃の間でも、高めに保つか低めに保つかで仕上がりに差が出るそうな。。

2013-05-17 10.31.40.jpg

蓋して保温しながら90分かけて糖化していく。

2013-05-17 11.40.28.jpg

90分経過。
こんなかんじに。

2013-05-17 11.51.15.jpg

糖化が完了したら、一旦76℃まで上げる。
役割を終えた酵素を不活性にしつつ、液体の粘度を下げて次の作業で分離しやすくします。

2013-05-17 11.51.45.jpg

ファルスボトムとシリコンホースで麦汁を回収。
これをスパージングといいます。ホースで吸い出して下に流す。計量カップで受けます。

2013-05-17 11.57.31.jpg

一度受けた麦汁を鍋に戻して、麦汁がクリアになるまで繰り返します。
ロータリングという作業。

2013-05-17 11.58.46.jpg

初めは濁ってた麦汁も。。

2013-05-17 12.00.38.jpg

何度かやってるうちに。

2013-05-17 12.02.43.jpg

クリアになってくる。

2013-05-17 12.07.00.jpg

ロータリングの作業を静かにやると麦芽自体が濾過層になっていく。中に小皿を浮かべて、ロータリングで注ぐ際に濾過層を崩さないようにしてます。

2013-05-17 12.10.53.jpg

そろそろええかな。繰り返すこと8回ほど。

2013-05-17 12.19.29.jpg

ここまで来たら煮込み用の鍋に直接麦汁を入れていきます。
ちなみにこれが一番搾り麦汁!

2013-05-17 12.19.35.jpg

あんまり早く出すと濁るので、流量調整。洗濯バサミで。笑

2013-05-17 12.30.09.jpg

一番搾りが抜けてきたら、新たにお湯を足して、麦芽の濾過層に残る糖分をさらに回収していきます。スパージング!

2013-05-17 12.37.11.jpg

お湯を一番搾り麦汁の倍以上足して糖分をばっちり回収しました。この麦汁をウォートって言います。
ここから煮込んでいきますよ。

2013-05-17 12.49.17.jpg

沸騰するまでは蓋して、、

2013-05-17 13.02.11.jpg

湧いた!10リットル仕込むのにこの時点で13リットル近くまで増量しております。
湧いたらフタしない。煮沸して煮詰めることと、オフフレーバーになる揮発成分を飛ばします。

2013-05-17 13.27.51.jpg

これがホップ。ペレット状になってる。何かのエサかフンみたい。

2013-05-17 13.28.48.jpg

30分煮たらホップを入れます。
ホップは全量で22gちょっとあるけど、まずはビタリング用に半量入れる。苦味を付けるための分。

2013-05-17 13.32.36.jpg

投入!

2013-05-17 13.32.57.jpg

そこからさらに小一時間煮込む。ちょっと量が減ってきた。

2013-05-17 14.12.05.jpg

これはアイリッシュモス。海藻らしいですけど、ウォートの濁り、タンパク質を分離沈着してクリアにする清澄剤。

2013-05-17 14.17.37.jpg 2013-05-17 14.17.50.jpg

アロマ・フレーバー用のホップを投入!アイリッシュモスも同時に投入!

2013-05-17 14.32.55.jpg

トータルで90分煮込みました。最後に残ったホップをさらにアロマ用で投入!

2013-05-17 14.33.27.jpg

最後のホップを入れたら火を止めて、ホップの香りが飛ばないようにフタをします。

2013-05-17 14.40.22.jpg

その間に、発酵容器を漂白。
前工程の煮沸が終わったら以降、ウォートが80℃以下で雑菌汚染に注意!!

2013-05-17 14.51.58.jpg

台所のシンクに水張って鍋ごと冷却。冷却でチラーを使うのもありみたいなんですが、まあ初回なので。。急冷すればするほど品質はあがります。

2013-05-17 15.26.45.jpg

ウォートを冷やす間に、酵母であるドライイーストを戻します。

2013-05-17 15.43.39.jpg

30℃以下になったらOK。次は氷をたっぷり用意しよう。。

2013-05-17 15.47.54.jpg

発酵容器に移します。鍋の底には色々沈んでるのであまり入れないように。

2013-05-17 15.48.33.jpg

酵母を入れます。ウォートが40℃以上だと全滅します。

2013-05-17 15.55.11.jpg

ちなみに初期比重1.054。予定では1.044になるはずだったけど、煮込みすぎて10リットルが8リットル程度に。笑。高糖度になってしまった。

2013-05-17 15.57.50.jpg

まだノンアルコール。あまーい麦ジュース。

2013-05-17 16.01.23.jpg

発酵容器にエアーロックを取り付けて。発酵初期では、酵母の活性に酸素が必要なので発酵容器ごと振って液体に空気を取り込みます。発酵終了まで1週間以上!

2013-05-17 16.01.52.jpg

後片付けがけっこう大変やな。。

2013-05-17 16.03.16.jpg

残った麦芽は飼料としても肥料としても有用です。でもとりあえず捨てます。

ここまでで最初の仕込みが完了!発酵容器に入れてから半日後には炭酸ガスがたくさん出て、コポコポ音がします。
発酵が終わったらボトリングします。

温度管理が大変だなぁ。とにかく作業の意味とか確認にはなるのでよし!完成が楽しみです。
posted by koji at 11:09| 大阪 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月17日

ものづくりの技術者

すっかり暑いです夏です。走っててもかなり焼けます。
水分補給をしっかりしないといけません。

さて、先日も酒蔵の醸造責任者の方とご一緒する機会があって色々お話伺えたわけです。
ビールのこと、ブルーパブのこと、醸造のこと。タメになりました。

蔵人とかブルワーの方で責任者になられる方は大学で微生物研究とかされてた方が多いようで、やっぱりそういう素養があってこそ醸造という世界で活躍しやすいと。
今年30歳の私が今からその基礎を身につけてビールを作る、というには少々スタートが遅い、とご指摘頂いてしまいました。

これに関して、ビール造りという点では全くそのとおりで、今になってようやく色々情報収集して人脈を広げてるわけですからそれはそう。

ただ、ビールを造らなかった代わりに、調理の勉強をして、接客を学び、店舗運営と経営に携わってきました。だからこそ、ブルーパブをスタートの目標に置いてると。
ビールを造ってきて、ビールを売りたいからブルーパブをやる、っていうのが、どうやらブルーパブ開業の一般的な流れっぽいんですが、私は逆からいってます。
飲食で独自性の高い店をやりたい。武器になる商品がほしい。からブルーパブ。って発想でスタートしました。

飲食の人にはわかってもらいやすいと思うけど、最近よくお話する醸造の方にはなかなか理解してもらえない。
それはとにかく醸造っていう仕事が大変だと痛感してらっしゃるからなんだと思います。
だから基本的にはみなさん厳しいご意見を下さります。笑
5年以内くらいで独立したいって話をする(本当は2年くらいでと思っている。笑)と、それじゃビール造りはまだまだ習得できないよと。
免許の取得に関してはやっぱり大変なようなので、ビアパブとして営業しながらブルーパブへのステップアップを目指すっていうのがスムーズでしょう。

多くのクラフトビールのブルワリーがそうなんですけど、年間60キロリットルの製造販売ができないので、酒造免許は「発泡酒」でしかおりません。
「ビール」と「発泡酒」の違いっていうとクラフトビール的な解釈で言うと副原料が入ってるかどうかでしょう。フルーツとかスパイスを入れると、麦芽100%でも発泡酒になる。
なので、発泡酒免許しかないブルワリーは「ビール」は造れない。必ず副原料を入れないといけない。ということはピルスナーもペールエールもスタウトもケルシュも、まともには造れない。造ったら密造になって罰せられる。
(はずなのに、ビールを造って売っちゃってるところもあるとか。)
小規模ブルワーの悩みがやはりここで、ビールを造りたいけど造れないから、色んなフルーツを入れるしかない。ものづくりの技術者としてはかなりストレスだそうです。

あとは、ビールであれば、酒税の減税措置がある。けど発泡酒にはない。
これはきっと大きい。
平成 2 5 年度税制改正(租税特別措置)要望事項
ビールの酒税に関しては色々問題がありすぎて今日は書きませんがとにかく高いのでこれがクラフトビールの市場拡大を難しくしております。

話はかわりますが、酒蔵が作るビールっていうのはなかなか理にかなっているというお話もありました。
なんせ日本酒っていうのは冬仕込むものですから、夏はヒマなそうで、その間にビールを造ることができる。
というと簡単に聞こえますけど、実際、現場的には、じゃあ冬はビール造らなくていいのかというとそうでもなく、冬の仕事量が極端に増えたと。笑。

前回の食博覧会で酒蔵が造るクラフトビールを色々学びましたけど、やっぱり酒蔵のビールには清酒造りの精神が反映されているのを、直接お話伺ってみて改めて感じました。
端的に言うと、IPAがない。こんだけIPAが流行ってる昨今にも関わらず、酒蔵3社で15種もビールを持ってきてIPAが一種類もなかった!

IPAを造らない理由は、杜氏が大吟醸じゃなくて本醸造の酒を好むから、というもので説明がつきます。食中酒にこだわってるんだと思います。
ただ、食中酒の完成度を高めるのってやっぱり難しいんだと思う。料理の邪魔をせず、かといって味気ないものにもならず、料理を引き立てるだけのキャラクターはある。っていう繊細なバランス感覚。そういうのってIPAにはあまりない。
酒蔵のビールって、そーんなにマニアウケがよくなかったり印象が薄かったりパフォーマンス悪いとか言われたりしてるみたいなんですけど、バランスの良いビールを造るのって難しい。
でも結局買って下さる消費者の嗜好に合うのかどうか、自己満足で造るんじゃなくて。飲食店の販売のしやすさとか経営的な制限も考慮して製品を造るとなると、ものづくりが難しくなっていく。

他にも色々とコンペティション受賞の裏側とか、大手ビールの原価のお話とか、狭い業界だから顔売っとくべき人は誰かとか、タックスオンタックスについてとか。
とまぁそんな話を色々と伺えて、大満足なわけでした。
もっといろいろ書きたいところですが、ウォートが沸騰したのでこれくらいで。笑
posted by koji at 13:11| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。