2014年01月06日

ビールの基本技術 その@

ビール酒造組合 国際技術委員会編

P3
胚乳は外周を取り巻く糊粉層とデンプン貯蔵組織の二つの組織で構成される。
コムギでは、糊粉層は1層の細胞から成るのに対し、オオムギでは2層以上、ビール麦では時に3層以上の多層構造の組織として観察される。
種子が給水すると、胚盤からジベレリンや加水分解酵素が分泌され、胚乳にある貯蔵養分の分解・可溶化が促される。可溶化した物質は、櫛状に変形した上皮細胞から効率よく吸収され、幼芽などへ転流されて成長に使われる。
糊粉層からはジベレリンがシグナルとなってαアミラーゼやβグルカナーゼなどが合成されデンプン貯蔵組織へ分泌される。オオムギでは、加水分解酵素が胚盤と糊粉層の両方で盛んに合成分泌されるため、胚盤に接する部位と糊粉層に接する部位から同時に、胚乳貯蔵物質の分解が進行する。ところが、コムギでは加水分解酵素は主に胚盤から分泌されるため、物質の分解は胚盤付近から進むのみである。
胚乳貯蔵物質の分解効率という視点からオオムギの方がビール原料にふさわしい。

リントネル「麦芽はビールの魂である。」
ビールを造る上で、原料から糖やアミノ酸を得るための酵素は、オオムギ自身の生命活動のために生成活性化させた酵素であり、我々はそれを拝借してビールを造っている。
ビールは大麦の発芽に伴うダイナミックなメタボリズムを余すところなく利用して造られていると言える。麦芽は単なるデンプン原料ではない。ビールの醸造工程の推進役として、また、ビール独特の香味の源泉としてその特性はフルに活かされる。

ビール麦として選ばれるオオムギは、エキス分=炭水化物80%に富み、粗蛋白含量も相当な範囲10.5%程度にコントロールされる。

発芽中の麦は緑麦芽と呼ばれ、発芽中に起こる貯蔵物質の変化を総称し「溶け modification」という。
「タンパク質の溶け」「炭水化物の溶け」「その他の物質の溶け」に大別される。

DMS(dimethyl sulphide)はビールに不快な香りを与える物質で、その前駆体のSMM(s-methyl-methionine)は発芽中に生成される。SMMは焙焦の際に分解されてしまうが、焙焦温度が低い場合や、焙焦時間が短い場合には分解されず、SMMは酸化され一部はDMSに変化し、麦汁を経てビールに残る。

酵素力はジアスターゼ力とも表現される。麦芽分析において酵素力として測定されるのは主にβアミラーゼ力である。
αアミラーゼは発芽中に活性化し、焙燥時の熱にも耐性をもつため麦芽中にも十分に存在するが、βアミラーゼは熱に弱く、焙焦温度でも失活しやすい。
そのため、酵素力を上げるには溶けを進め、焙燥では低温かつ十分に乾燥を行い、焙焦温度が高くなりすぎないようにする。

ロースターを使用する麦芽
クリスタル麦芽には様々な色度のものがあり、ビールに濃醇さと麦芽の香味の特徴を与える。
緑麦芽または焙燥した麦芽に再び水分を与え、水分含量を高めてから回転式ロースターに入れる。
密閉したロースターの仲で60〜75℃で1時間保ち糖化酵素を働かせ、デンプンの液化と糖化を起こす。その際、水溶性エキスが増加してタンパク質の分解も進み、可溶性窒素が増加する。
次に密閉状態を開放して水分を飛ばしながら加熱して着色工程135〜180℃とする。カラメル物質が糖から生成される。
良いクリスタル麦芽は、粒全体に膨らみを持ち、切断すると殻粒内部はガラス状で焙焦香がある。

ロースト麦芽
着色用に原料の1〜2%の範囲で用いられる。
60〜80℃で糖化休止をとり、その後160〜200℃まで上げる。200℃でメラノイジン形成が進み焙燥香味のある成分が生成される。穀粒内部がコーヒー色になるまで220℃程度。

小麦麦芽
高分子蛋白が多く、泡持ちが向上する。冬小麦が蛋白が少なくエキスが高い、色度も低い。


ホップ、和名「せいようからはなそう」
8〜12mまで成長する。ビール醸造には未受精のものが好まれるためホップ畑には雄株は存在しない。
8月に毬花が形成され収穫期を迎える。

ビール醸造にとって重要な成分は、樹脂(苦味成分、α酸β酸)・精油(芳香成分)・フェノール成分(タンニン)である。

α酸が麦汁煮沸中に熱反応によって異性化しイソα酸になる。α酸に比べて溶解度が10倍以上増す。
長期間保存=酸化して使用する場合には、β酸の酸化物もビールの苦味に関与すると言われる。

ビールのフェノール成分は麦芽が7〜8割、ホップから2〜3割。
フェノール成分は低分子は抗酸化力、高分子はビールの着色と濁りの形成に関与している。
香味的には、渋味と味の厚みをビールに付与する。
フラボノイドは麦芽には含まれずホップのみ。
ホップ由来のポリフェノールにはタンパク質と結合して不溶化するものがある。これによりビールを濁らせるタンパク質が醸造中に部分的に泡の表面に分離してきて滓や沈殿として除去される。
ホップを添加した方が清澄度が増す。

α酸自体はあとに尾を引く苦味を呈しビールへの溶解度も低い。

添加したホップに含まれるα酸のうち、イソα酸としてビールに移行するのは3〜4割であり経済的とは言えない。

イソα酸と麦芽由来の泡タンパク質とが水素結合して複合体を形成するため泡持ちの良くなる。

ホップの芳香を強調したビールは麦汁煮沸終了直前に添加する方法レイトホッピング、ドイツピルスナー、貯酒工程や出荷される樽に添加する方法ドライホッピング、英国のエールなどがある。

日本の酒税法では、発酵終了以降の工程でホップは添加できない。

ホップの加工
@ホップ成分の均一化
A容積の低減
B酸化耐性の向上
C必要成分の利用効率の向上
ペレット、エキス。
精油成分を精製。ホップオイル。
posted by koji at 23:33| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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