2013年06月11日

やさしい醸造学 の抜粋その@

結局、図書館で借りてきた本なわけですが、「やさしい」と書いてる割にかなり細かく醸造全般について書かれています。
そして著者が大手ビールメーカーの人物のため、その大半をビール醸造について書かれています。
もちろん大手が作る大量生産ピルスナーの製造についてが多いのですが、それ以外でもかなり基礎的な部分について記述が多いので、自分用のメモとして抜粋します。





胚乳の中にはデンプンが詰まっている。
デンプン粒は結晶構造をしたデンプンからできており、煮沸されることによりその構造が崩れて、麦芽や麹菌の酵素に分解されるようになる。これを糊化。

胚乳の一番外側には、種皮・果皮・アロイロン細胞という3層の細胞層が存在する。
このアロイロン細胞は、発芽に際して胚乳の成分を分解する酵素を生産する役割を果たす。
タンパク質、ビタミン、塩類などの栄養価に富み、糠を構成する成分。アルコール醗酵においては、多くの酒類の醸造に際してこの成分はあまり歓迎されない。味噌や醤油の醸造においては逆に必要となる。

ポリフェノールは、製品の保存や熟成期間などに変化し、着色の原因、タンパク質との結合で混濁を形成する。
この反応は自然に発生するが、麹菌や麦芽がもつポリフェノール酸化酵素によっても促進される。が、この酵素は酸素がなければ働かない。
ポリフェノールの一種、フェルラ酸は、ある酵母の酵素によって変化し、4−エチルグアヤコールという物質になり、スモーク臭、フェノール臭を与える。

水質に鉄分が含まれると、醸造物の最後の製品化の段階で酸素に触れ、製品が酸化されて変質するのを促進する。色、香味の変化、濁りの発生など。

カルシウムや重炭酸塩類はもろみのpHに影響を与える。
ビールは4.2程度の酸性、ワインで3.2ほど。
同じ栄養分があっても、pHによって生育する微生物が違い、それにより醸造物の香味も違ってくる。
酵母や麹菌は酸性条件下でよく生育する。細菌類は酸性に弱いものが多い。中性に近いと、アミノ酸を分解して異臭をつくる細菌類が繁殖し香味が悪くなる。

アルコール醗酵を行う酵母は酸素のないところでも生存でき、酵母の中ではまれなものである。
麹カビは酸素のあるところでしか生育できない。菌糸の先に、頂囊という膨らみを作りその先に分生胞子をつくる。この胞子は、細菌類の胞子と違い耐熱性がない。

微生物の増殖は、まず適応期があり、この間で細胞内の態勢を整える。だいたい1世代の増殖に要する時間程度である。ただし、微生物の活性が低下していれば適応期が長くなる。
その後、倍、倍と増えていく。これを対数増殖期と呼ぶ。この期間に、細胞内で各種の物質変化=代謝が盛んに行われるので、各種の生成物が細胞外に出てくる。これが醸造物の香味成分となる。
その後、栄養分がなくなり、排泄物がたまる、微生物数が多すぎると増殖は止まる。これを定常期と呼ぶ。
この期間には、細胞内に貯蔵物質を蓄積するが、環境がさらに悪化するとその貯蔵物質を消費し始め、それもなくなると死滅が始まる。さらに、細胞膜が働かなくなり、自らの分解酵素によって細胞内成分の分解と溶出が始まる。
醸造物のなかでは、これがアミノ酸や核酸、ビタミンが増える原因となる。

通常、生物は、呼吸によってATPを作る。解糖系、TCAサイクルで脱水素、脱炭酸、酸化的リン酸化を経て完全に分解されると、最終的に水と炭酸ガスになる。
アルコール醗酵を行う酵母菌の場合は、TCAサイクルにまで入って分解される養分の量がごく少なく、その手前の解糖系で得られるピルビン酸がアセトアルデヒドまで分解され、エチルアルコールにまで変換される経路が非常に太い。
なので、酵母の場合、糖が分解されて得られるATPはブドウ糖1分子あたり2分子のみであり、TCAサイクルで水と炭酸ガスにまで完全分解されて38分子のATPが生成されるのに比べると非常に効率が悪い。
そのため、酸素がある環境で糖を完全分解=呼吸できる他の微生物が入ってくるとそちらが優勢に増殖し、酵母は働けなくなってしまう。
雑菌の侵入を防ぐことと、酸素を必要以上に与えないようにするのはこのためである。
ちなみに酢酸菌はアセトアルデヒドを酸化して酢酸にする力が強く、エネルギー生産効率も酵母や乳酸菌より高いため、アルコールを酢酸にまで酸化してしまう。

酵素はタンパク質である。
アミノ酸がペプチド結合をつくり鎖状に繋がったもので、立体的な構造をしているが、この構造が酵素としての作用を生む。この構造が変成すると酵素の作用はなくなってしまい、失活する。
麹菌や麦芽の酵素は、細胞の外へ出て働く特別なものである。
細胞内の酵素は、細胞内の環境がほぼ中性であるので中性でしか働かないが、特に麹菌の出す酵素は、清酒醸造用のもろみのような酸性の強い条件下でも働くことができる。

醸造用のアルコール醗酵性酵母は糖の醗酵力が特に強く、パスツール効果(酸素があると呼吸をし、ない状態では醗酵をするという代謝の切り替えを行う性質)をほとんど示さず、酸素がある環境下でもアルコール醗酵を行う。

麹菌はデンプンやタンパク質を分解して低分子化する性質が特に強い。分解産物である糖やアミノ酸は、本来的には麹菌に取り込まれて栄養分として利用されるはずのものであるが、清酒醸造の場面ではそこに酵母菌を存在させて、麹菌が自分のために生成した糖類を酵母に横取りさせてアルコールを作らせる。

糊化されたデンプンは、ブドウ糖が互いにつながった位置から、酵素によって細かく切断されるが、それぞれ違った酵素が関係する。

アルファアミラーゼ。長いデンブンの分子を大雑把にぶつぶつと切断。液化酵素。麦芽のアルファアミラーゼは耐熱性が高い。切断されて低分子化したデンプンはデキストリン。

ベータアミラーゼ。デキストリンの端からブドウ糖を2分子ずつの単位で切り取っていく酵素。マルトース=麦芽糖を生成する。麦芽はこの酵素力が強い。麦汁にはこの糖が多く含まれており、醗酵させるために、麦芽糖に対する醗酵力の強い酵母が選ばれる。逆に麹菌はこの酵素の活性が非常に低い。ベータアミラーゼの耐熱性は高くない。このため、糖化の際の温度が正確にコントロールされていないと、糖分の生成率が悪くなる。

グルコアミラーゼ。デキストリンの端からブドウ糖を1分子ずつ切り離していく酵素。清酒用の麹菌はこの酵素の活性が強い。逆に大麦麦芽ではこの酵素活性が弱い。

リミットデキストラナーゼ。枝切り酵素。デキストリンが上記の酵素に分解されていくと、アミロペクチンからのデキストリンの場合には、枝分かれしているところでそれ以上分解が進まなくなるが、この分岐点を切断する酵素。これによりデンプンの完全な分解が行われる。この酵素も耐熱性が高くない。

酵母菌は糖分の多い酸性の液体の中では、ほかの微生物よりも優先的に増殖し、醗酵する。カビも酸性条件下や糖分濃度の高いところは増殖するが、酸素が十分にないと増殖できない。
酵母菌がアルコール醗酵を始め、糖液中の酸素を消費し尽くして炭酸ガスを発生してるところではカビは生育できない。
細菌類も酸素の少ないところで生育できるものは少なく、それ以上に酸性条件下で生育できるものが少ない。また、糖液中のような浸透圧が高い条件下では生育できない。このため、果汁やハチミツ液の中は特に酵母が優先的に生育できる。太古からワインなどは品質のよい酒ができやすかった。
これに比べると穀物からの酒造りは自然な方法で高い糖濃度を達成できず、雑菌の汚染を受けて、おいしく飲める酒をつくることは簡単ではなかった。
ワインは上流階級、ビール労働者階級の酒といわれた所以はこれであるとも言われる。
技術的に困難な穀物酒を作るということは古代においては一種の魔法のようにもみなされ、これが酒と神事のつながりになったという説もある。
中世ヨーロッパで専ら修道院でビールが作られていたのは、研究が専門的に熱心に行われていたことのほかに、炊事や育児のために果実や乳由来の野生の酵母菌や乳酸菌にまみれていた女性が修道院にはいなかったためとも言われる。たまたま酒造りに関わった女性が、前述のような理由で酒造りの不調との関連を咎められて、魔女にされてしまったという説もある。

ポリフェノールに乳酸菌の生育を抑える作用があることがわかっている。

嫌気的な環境下では、微生物は呼吸ができず生育は抑制される。しかし、この際に不飽和脂肪酸が与えられると酵母の生育が可能となる。不飽和脂肪酸が酸素の代役を果たす。濁った麦汁ほど脂肪酸含有量が高い。

窒素や硫黄を含む化合物は一般に匂いが強く、低分子で揮発性の高いものほど匂いが強い。また、反応性が強いのでより強い匂いを持つ化合物に科学的に変化する傾向も有する。
醗酵臭は、タンパク質やその分解物に微生物が作用したもので、腐敗臭に近い。酒類では嫌われる。
対して、炭水化物に由来する醗酵臭は穏やかなものである。
醗酵に際しての香味成分はわずかな例外を除いて、酵母が増殖をしている時期に生育し、増殖が終わると生育も止まる。

沸点の高い匂いの強い区分をフーゼル油と呼び、酒類の品質を左右する重要な成分である。高級アルコール類で、酵母によるアミノ酸合成の中間体としてか、脱アミノ反応によるものと2つの経路で生成する。
これらの高級アルコール類をもとにして、醗酵中には熟した果実様のにおい成分である酢酸エステル類が生成され、醸造物の品質と強く関係する。他に、脂肪酸のエチルエステルがあり、弱った酵母が醗酵する場合に生成される傾向がある。
アルデヒド類は容易にアルコールに還元されるため正常な醗酵ではその存在濃度は少ない。
乳酸菌が特徴的に作るにおいにダイアセチル臭がある。カラメル化反応によって化学的に生成する。

醸造物の中で起こる、アミノ酸と糖によるアミノカルボニル反応によりだんだん着色が進行する場合には、分子が簡単なものからだんだん複雑な大きな分子メラノイジンへと変化していくため、吸収される光の波長が増えていき色が濃くなっていく。
他に、ポリフェノール化合物がポリフェノール酸化酵素の作用により結合してメラニン様物質をつくる反応によって褐色反応が起きる。


箇所が多くて乱文になる。。読みづらくてすいません。また、そのA以降の投稿と一緒にレイアウト直します。
posted by koji at 18:25| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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