2014年02月14日

ビールの基本技術 そのB

煮沸工程
@水分の蒸発
Aホップの苦味成分の変化と麦汁への溶解(苦味の付与)イソ化
Bタンパク質の熱凝固(ブルッフの形成)
タンニンは80%が麦芽由来、20%がホップ由来であるが、ホップ由来のタンニンの方が反応性に富む。有効に析出させる最適化pHは⒌2とされる。
C麦汁色度の上昇メイラード反応によるメラノイジン生成とタンニンの酸化
D還元性物質の生成 メラノイジン。香味耐久性向上
E麦汁の殺菌
F酸素の失活
G揮発性物質の揮散
SMMが熱分解してDMSとなり揮散する。

麦汁煮沸時間、1〜2時間 蒸発率時間当たり8〜10%が妥当

ホップ添加は、最終製品への苦味価移行率を監視しながら量を決める必要がある

煮沸後、冷却
ブルッフを熱トルーブという。酵母に吸着して発酵を妨げる。
冷却、エアレーション(溶存酸素濃度が8〜10ppm)
冷トルーブの除去。冷やすと析出する。

仕込み習得率を74〜79%が一般的


ビール酵母
上面発酵酵母と、下面発酵酵母の両者の違いの一つは、メリビオース資化性があり、下面発酵酵母は資化できるのに対し、上面発酵酵母は資化できない。

ビール酵母は、グルコースを最初に取り込み、細胞周期のサイクルが働き、その後、マルトースを消費して発酵を開始する。
マルトトリオースは発酵期間中に徐々に消費する程度であり、デキストリンはほとんど代謝できない。
ヘキソースは細胞膜を通じて細胞内で代謝される。

酵母は好気的条件下でも、嫌気的条件下でも代謝を行う。酸素があると呼吸を開始しTCAサイクルにてエネルギーを取得する。

酵母は増殖に窒素を必要とする。麦汁中に十分なアミノ酸やペプチドがあることは、酵母の増殖や順調な発酵経過のためにも必要である。

アミノ酸はグループA〜Dの順で取り込まれる。

酵母の発酵代謝産物
@エタノール
資化性糖のEMP経路。高級アルコールの多くは、エーリッヒ経路、すなわちアミノ酸の脱アミノ化で生成したケト酸が還元されてできる。
Aエステル
大別して、酢酸エステル類(酢酸イソアミルなど)と、エチルエステル類(酢酸エチル、カプロン酸など)
Bアセトアルデヒド
酵母代謝の中間物質としてピルビン酸の脱炭酸によって生成。発効過程で減少する。
Cダイアセチル。グループBのアミノ酸の資化に影響される
DS系化合物
EDMS

酵母ハンドリング
発酵が終了したタンクより酵母を回収、洗浄、保存を行う。
発酵後、沈殿した酵母は、3つに区別される。
下層は、発酵初期に沈殿した酵母で低活性あるいは死滅した酵母。
中層は、発酵が最も進行したときに生じた沈殿酵母であり、性状は純粋培養された酵母に近い。また、不純物が少ない。
上層は、発酵が強い反面、ホップ樹脂などのデッケを多く含む。
回収の際、温度管理が重要。温度が高い(10℃以上)だと、酵母体内のグリコーゲンを用いて代謝を開始するため、代謝熱により、温度が上昇し酵母劣化を促進する。
この他、酸素の巻き込みによる代謝阻害、炭酸ガスによる加圧ストレス、移送配管によるストレスを回避する。
酵母は0〜2℃で保存。

発酵
前発酵には6〜10日を要する。
酵母は添加後、3時間弱で麦汁中の溶存酸素を消費し、不飽和脂肪酸を合成する。
次にアミノ酸を優先的に取り込み増殖に備える。炭水化物の代謝はまだ始まらない。この時期は約10時間。
15〜20時間後に白い泡で覆われる。湧き付き。
2〜3日でクリーム状の泡=クロイゼンが発生。
3〜6日後は発酵の最高潮。泡表面には、pH低下によって不溶化し析出したタンパク質、ポリフェノール、ホップ樹脂が付着し(デッケ)黄褐色を帯びる。
この際、冷却が強すぎると再び白い泡=ナーハシーベンを生じる、発酵遅延が起こる。
6〜10日後には、少量のマルトトリオースを残して発酵性糖が消失。
最終的には、添加の3〜4倍の量に酵母が増殖。

発酵貯酒中の物質変化
ビール酵母は単糖類から三糖類まで摂取する。
麦汁中の糖成分中最も多いマルトースよりもグルコースが優先的に取り込まれる。グルコースはマルトース透過酵素に対して阻害作用があるため、グルコースを多く含む糖質副原料を多量に使った麦汁では発酵障害が起こることがある。
三糖類のマルトトリオースが一番最後。
アミノ酸は菌体増殖と平行する。これに伴ってpHの低下が起こるが、有機酸の生成にもよる。pHが低くなれば、有害微生物への耐性や製品ビールの劣化臭物質の遊離にも関与する。

発酵区分の見直し
発酵:エタノール生成と香味成分生成
熟成:若臭物質の還元
貯酒:冷却による混濁物質の析出と炭酸ガスの溶解安定

エール酵母
発酵温度を高くすれば、より荒々しい発酵になるが泡立ちも多く、イソα酸が泡に移行し、結果として苦味の利用率が下がり、泡持ちは悪くなる。

ケルシュ
発酵最高温度が18〜22℃で4〜5日間で終わる。最高発酵温度が28℃に達することもあり、このビールの香りの華やかさは高温発酵上面発酵酵母による。
posted by koji at 22:38| 大阪 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月11日

ビールの基本技術 そのA

仕込みについて

醸造用水
総硬度=炭酸硬度+非炭酸硬度=Ca硬度+Mg硬度
炭酸硬度:一時硬度、総アルカリ度とも呼ばれる。水中のCa、Mgの重炭酸塩量を示す。この硬度は煮沸により容易に消失するが1日経てばほぼ元に戻る。
非炭酸硬度:水中のCa、Mgの硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩を示す。この硬度は煮沸によっても変化せず永久硬度と呼ばれる。
レストアルカリ度(RA)が高いとマッシュはウォートのpHが高くなり、影響がある。麦汁中のアミノ酸濃度の低下、伴って発酵渋滞。殻皮からの不要物質の溶出によるビールの保存性、味の悪化。
淡色ビールでは、炭酸硬度:非炭酸硬度=1:2.5〜3.5が望ましい。

副原料
ビールは「アルコール分が20度未満。麦芽、ホップおよび水を原料として発酵させたもの、または、麦芽、ホップ、水および米その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。ただし、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の10分の5を越えないものに限る。」
政令で定める物品、麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、苦味料、着色料(カラメル)。

糖化工程
@でんぷんの分解
不溶性でんぷんを酵母が資化できる糖類へ分解する。
アミロースは水中でコロイド状となり、アミロペクチンは糊化する。その後、αアミラーゼにより酵素分解を受けマッシュの粘度は急速に低下、液化する。

Aたんぱく質の分解
高分子では水に難溶性であるため、可溶性となる低分子まで分解する。エンドペプチターゼ群としてのカルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ。
高分子は、煮沸工程の熱凝固などで取り除かれるが、一部はビールに移行し、濁りの原因となる。
中低分子は主としてビールの泡もちに、ポリペプチドはビールの旨み、濃醇さに関与すると言われる。
アミノ酸はビールの味に関与するほか、栄養源として酵母代謝、香気成分生成に影響。
糖化工程で分離、遊離されてくる全アミノ酸の70〜80%は、酵素群の中のカルボキシペプチターゼによる。

Bヘミセルロース、ゴム質の分解
胚乳細胞壁はヘミセルロースとゴム質により構成。これらの物質はペントサンと、βグルカンから成る。
マッシュ65〜70℃でβグルカンソルビラ−ゼにより、タンパク質と結合されたβグルカンは遊離する。
既に主なエンドβグルカナーゼが失活しているため、このβグルカンは後工程まで残存する。
βグルカンの分解は製麦工程での分解が重要。麦汁、ビールの粘度が上がり、ろ過渋滞を起こすとともに、凍結混濁を引き起こす。

2014-02-11 18.18.05.jpg

淡色ビールの場合、粉砕原料100kgに対して350〜450ℓ、濃色ビールでは、300〜350ℓを使用する。

デコクション。マッシュの一部を煮沸する。麦芽、副原料のでんぷんを糊化、液化を進行させ糖化を容易にする。メラノイジンの生成、殻皮の内容物を浸出。酵素を失活させ、酵素反応を抑制する。
インフュージョン。麦芽の酵素によってのみ、成分溶解や分解を起こさせる方法のため、煮沸による物理的溶解作用はない。副原料使用に向かない。
デコクションよりインフュージョンの方が、20〜50%省エネ。だが、エキスの習得率がやや低くなる傾向がある。デコクションの回数を増やすほど、殻皮成分の溶出が増え、濃く力強い味に向く。

ろ過工程
ロイターろ過槽の標準的な単位面積あたり負荷の麦芽使用料は、乾式粉砕加湿なしで160〜175kg/u。
スパージング湯量は、一番麦汁エキス濃度によって異なる。煮上がり12%程度であれば、一番麦汁のエキス18〜20%で麦汁量の1.2〜1.5倍量が洗浄湯の目安。
マッシュの導入、静置で3層に分かれる。一番上層にはタンパク質と細かな殻皮からなる薄い層は、ろ過渋滞となるため全面に均一となるようにする。表層の厚さは、30〜40cm。
ろ過流量は過剰にすると麦層がしまり、濾過抵抗となる。一番麦汁濾過は、麦層の表面が見えるところまで。
スパージングは、2、3回に分けて行うことが一般的で、エキス習得率が高い。ろ過麦汁エキスがほぼ1%以下になる。

麦汁の清澄度。濁度の高いウォートは濁り成分が多いため、ホップの苦味成分がその濁り成分に吸着され、苦味利用効率が下がる。また、リノール酸やパルミチン酸などの脂肪酸が増加するため、香味耐久性が劣る。
濾過槽中でのマッシュの温度が高いほど粘度が下がり、ろ過速度が上がる。αアミラーゼの失活する80℃より低く、78℃で管理される。
posted by koji at 18:18| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | ビール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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