2013年07月17日

やさしい醸造学 抜粋そのD 日本酒そのA

清酒の味わい。
清酒の利き酒は専門的には口に含むだけで、ビールやワインのように飲み下されることがない。
容器は内部に紺色の円が2重に描かれた白色の陶器の茶碗が用いられ、着色度、清澄度も同時に評価される。

甘口、辛口、芳醇、淡麗、きれいさ、などの味わいの表現。
糖度量の影響を比重によって表し、具体的には日本酒度という。
糖度が低ければプラス、高いほどマイナス。
一般的に清酒中の糖分は4〜5%(うちブドウ糖は3〜4%)程度含まれているが、比重が0.8のアルコールが15%前後含有されているので、実際の糖度は4〜5%あっても、比重で測ると見かけ糖度が±0近くとなる。

酸度も糖度も高い酒は濃醇、ともに低い場合は淡麗。
乳酸40%コハク酸25%リンゴ酸20%などが多い。

近年人気のある、生酒、生貯蔵酒は出来たてのフルーティな香りが受ける。
しかし、分析値に現れるようなエステル化合物は火入れ操作によって分解したり、揮散したりしない。より反応性が強く火入れによって変化してしまう成分とエステルとの合わさった香り。

清酒への乳酸菌汚染を「火落」という。
生酛や山廃酛作りの際、乳酸菌は低温性の菌であり清酒のようなアルコール濃度の高い条件下では育成できない。このような条件下で育成してくるのは限られた菌であり、火落菌と呼ばれる。
乳酸菌と同時にダイアセチルを生成し、酒に異臭を与える。つわり香とも呼ばれる。種類によっては、25%という高いアルコール濃度でも育成する。
この乳酸菌はビールやワインには生育せず、清酒でないと生育できないという性質がある。これは、麹菌の生産物であるメバロン酸(かつて火落酸と命名された)が関与しているためである。

清酒はその名のごとく清澄でなければならない。
濁りの原因となるのは、麹菌から溶出されるグルコアミラーゼなどの酵素類である。
酵母でもそうであるが、酸性条件下で生育するものであっても、その菌体内は中性に保たれており、菌体内のものが自己消化などで溶出すると酸性条件下で変成し、析出して濁りとなる。

清酒は着色は好まれない。主として酵母に由来するビタミンB2であるリボフラビン、アミノカルボニル反応、フェリクリシンという麹菌の生産物によるものがある。
フェリクリシンはアミノ酸がつながって環状の構造をとったペプタイドであり、鉄イオンがあると着色する。
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2013年07月15日

やさしい醸造学 抜粋そのC 日本酒

清酒とは、蒸した米のデンプンが同じく蒸米からつくられた麹の酵素によって糖に分解糖化され、清酒酵母によってアルコール醗酵が行われて造られる酒である。
糖化と醗酵が1つの槽の中で同時に進行する、並行複醗酵という方法であること、並びに蒸留酒以外では、世界最高の20%以上のアルコールを生成することで、世界にも類を見ないユニークなものである。

穀物酒でも、西洋は麦芽から、東洋は麹から造られる。高温多湿なためにカビが生えやすいことから麹文化となったのであろう。
東洋の酒の中でも日本の清酒は、穀粒が相互にバラけて固まっていない状態の撒麹を用いるのに対して、その他の国ではほとんどがレンガ状に固めたモチ麹を用いる。

原料のコメは、精白される。
普通のご飯用の白米が10%程度を削った90%精白度であるのに対して、普通酒で70%、大吟醸では50%以下にまで精白される。
清酒用の原料米は飯米用の品種ではない特殊なもので、精白でたくさん削るために大粒が好まれる。水分を吸いやすく、心白といって米粒の内部に不透明に白く見える空隙のあるものが、麹菌の菌糸がよく食い込んで育成しやすく評価が高い。古米は砕けやすく脂質が酸化されているので適さない。
精白度70%で10時間、50%までには45時間を要する繊細な作業。

米は洗浄された後、25〜30%の水分含量となるまで浸漬吸水させる。
この水分含量は赤飯の半分程度なので、蒸したあとでも相当に固く麹菌を植え付けて麹を作る際にもべとつかない。
浸漬前の米が有する水分含量によって最終水分含量が決まるという法則性がある。
精白米の水分が1%増えると、吸水量が3%減少する。最終30%の水分含量とするには、米の水分を12%としておけばよい。

米の蒸煮は昔は甑で行われた。研究が進み、米のデンプンは20分の処理で十分に糊化することが判明した。
甑使用時代は全て手作業で、過酷な労働であったが、連続蒸米機、連続放冷機の開発により人手を要しなくなり、人の手を経ることによる雑菌汚染が少なくなったため、冬だけだった酒造りが四季を通して行えるようになった。

通常、麹用には蒸米全量の20%が使われ、35℃まで冷却される。
残りは掛米として酒母造り、もろみへの追加添加に使われる。

麹をつくる事を製麹という。
麹菌の源は稲につく稲麹であり、これを玄米に近い蒸米に木灰とともに撒くと、黄麹菌だけが生育してくる。この胞子を蒸米に振りかけて酒造用の麹をつくるのである。

麹は、デンプン質を含み発酵されてアルコールを造る糖分の原料であると同時に、蒸米のデンプンまでも分解する酵素の供給源である。麹は酵素源としての役割が非常に大きい。
しかし、代謝産物はマイナスの影響があるので、麹としては、酵素生産量が高く、代謝産物は少ないものがよい。両者の関係は、麹の育成具合によって異なってくる。

麹菌の菌体は、蒸米に接して栄養分を取り込んでいる基底菌糸と、空気中に伸びて生育している気菌糸とでできている。役割上、基底菌糸の方が分解酵素生産力が強く、したがって、菌糸が蒸米中によく食い込んでいる=ハゼ込み状態の麹がよい麹である。乾燥状態を調整し、気菌糸の生育を抑制しつつ麹全体の菌の育成を図る。
温度経過が高温気味であると、デンプンから糖を生成するアルファアミラーゼやグルコアミラーゼの活性が高く、低温気味であると蒸米を溶かしてデンプンの溶出を助ける酸性プロアテーゼの活性が高い麹ができる。
生育しすぎた麹は、代謝産物が多くなり味は複雑で濃いが、色がつきやすい。

麹蓋と呼ぶ木製のトレイで麹は造られる。蒸米に麹菌の胞子を接種し、布に包まれて32℃ほどに保温される。12時間後に一度切り返しが行われ、丸一昼夜たつころから麹菌の増殖が盛んになり温度が上昇してくるので、一定量ずつ麹蓋にもられる。その後6時間ごとに手で攪拌し、温度上昇に合わせて盛り方を変え所定の温度経過をたどらせる。約40時間、最終的には40〜42℃となし、純白な菌糸が米粒を覆い特有の芳香、栗香が出てきたところで終了とされる冷却される。

酒造りで用いられる酒母を酛(もと)という。酛は、乳酸酸性で、清酒酵母を1mlあたり2〜3億細胞を含み、麹菌由来のアミノ酸、ビタミン、その他、酵母の増殖因子を豊富に持ったもろみ状のものである。

麹と米と水をすりつぶして桶に入れて低温で放置すると、まず硝酸還元菌が増殖してきて、用水中の硝酸が亜硝酸に還元される。
また、低温性の乳酸菌も育成してきて乳酸を生成する。
この環境下で、産膜性の野生酵母などが死滅する。
乳酸菌の増殖が続き乳酸濃度が高まると硝酸還元菌も死滅し、乳酸菌自身も弱って死滅し始め、耐酸性の高い清酒酵母のみが育成できる環境が整う。
この方法で作った酛を、生酛(きもと)という。

最初に麹と蒸米と水をすりつぶす作業を山卸といい、この作業を行わずに麹の水抽出液を用いる方法で作った酛を山卸廃止酛、略して山廃酛という。
現在では、麹と蒸米に対して、純粋培養した酵母と試薬の乳酸を添加して調整する速醸酛が広く用いられている。

酒母の品質は最重要なもので、ほかの条件がいくらよくてもよい酒はできない。
温度が高いと麹菌の酵素による糖やアミノ酸の生成が盛んになるので、雑菌の汚染の危険が高くなる。清酒酵母の増殖段階では温度は上昇し、最終的には20℃近くまで昇温し、糖度が下がりきった時点で冷却される。冷却により麹菌の酵素によるデンプンやタンパク質の分解反応が遅くなり、酵母は増殖を停止し定常期の状態となり、自己消化しにくく保存性のきく生理状態となる。

清酒酵母は、乳酸に対して耐性があるほか、麦芽糖の醗酵力がほとんどない点が挙げられる。
麹菌の生産するビタミンの一種のパントテン酸を生育に必要とする。
アルコール濃度が20%にも達する酒を生成するので、アルコール耐性が強いと考えられるが、ビール酵母やワイン酵母も、清酒もろみの中では同様に高い濃度のアルコールを生成することから、これはもろみの性質に原因があることが判明している。1971年に、麹菌の細胞膜にある一種の脂質が酵母に高いアルコール耐性を与えることが解明された。

清酒の醗酵方式は、基質となる蒸米が半固体でもろみに投入されること、糖化と醗酵が同時に進行すること、もろみ量が原料の追加添加(段掛け)により増量していくことなどで世界的にユニークである。

第一段の仕込み=初添えにより酛中の酵母は酸素に接し、環境中のアルコールや酸濃度が低下するために酵母が増殖を開始する。
次の日は「踊り」といって仕込みはなし。この日に現れる表面の泡の状態が、醗酵の順調な開始の目安となる。初添え後30時間ほどで筋状の泡がもろみ表面に現れれば順調である。
3日目、二段目=仲仕込みが行われる。麹の割合がやや低下。
4日目、三段目=留仕込みが行われる。この間、温度は10℃以下に保たれる。仕込みごとにもろみに酸素が供給されるため、酵母は増殖を続ける。留仕込み後の数日間は醗酵が最も盛んで、もろみ表面は厚い泡に覆われる。
留仕込み後8日目頃、醗酵の勢いが最高で品温も15℃くらいまで上昇。その後、もろみ中の蒸米溶解が進み、アルコール濃度が高まるにつれて粘度が低下し泡の高さは低くなり、16日目頃には液面の見える「地」という状態となる。醗酵はなお進み、20〜25日でアルコール濃度20〜22%に達する。

この仕込み方法は、酵母の増殖の倍率とよく一致しており、仕込みの期間中、酵母濃度はほぼ酛における酵母濃度のレベルで推移する。
醗酵中の香味成分の生成は増殖期の酵母の状態によって決まる。ビールと同じである。
清酒醸造の場合、酵母の状態を表す増殖の適応期の長さは、踊りの段階における泡の状態に現れる。
酸度の上昇は酵母が増殖しているもろみ前半期に、エステルの生成はそれよりやや遅れて増殖の終わる留仕込み後の数日間の醗酵の最も盛んな頃に観察される。

1969年に実用化された、清酒酵母の変異株の泡なし酵母は、醗酵中の泡に付着せず、泡の盛り上がりが非常に少ない。
タンク容量いっぱいの仕込みを行うことができ、かつ、醗酵の進行も早い。

吟醸香という香りは果実的な香りでエステル類の含有濃度は普通酒に比べると非常に高い。
中でもカプロン酸エチルのような中級脂肪酸のエチルエステルの香りが珍重される。
エステルの生成は酵母の増殖が終了した頃に行われるので、後半期の醗酵を長く持続させる。この時期には酵母は活力が落ち、死滅の方向に向いているのであるが、特に脂肪酸のエチルエステルはこのような状態の酵母によりよく生成される。酵母が完全に死んでしまっては醗酵が進行しない上、死んだ酵母の自己消化によって異臭がつく。したがって、弱った酵母の状態を保ちながら醗酵を続けさせるのが吟醸酒造りである。醗酵は低温で行われる。

酵母の増殖を抑制するには、タンパク分解力の弱い麹=吟醸麹を用い、製麹法もタンパク分解力が強くならないように管理。高級アルコール類の生成も抑制されすっきりした香味になる。
米の精白度を上げ、窒素含有量を減少させることもこの目的のため。しかし、精白度を上げると米は割れやすくなり、浸漬による水分調整も難しくなる。吟醸酒造りは非常に難しい技術なのである。

醗酵が終わったもろみは、濾過されて清酒となる。第二次世界大戦中の物資不足以降、多くの清酒はアルコール、あるいはアルコールとその他の調味アルコールの添加が許されており、それらは濾過に先立って添加される。濾過後に添加すると、アルコール濃度の上昇による濁りが発生するからである。また、酵母の活力が残るうちに添加すると酸素が供給されるため、増殖開始に向けた代謝を開始してしまい、ダイアセチル臭(つわり臭)やアセトアルデヒド臭(木香様臭)を発生するため、醗酵がほぼ完全に終了してから添加する。しかし、アルコール濃度の上昇によって、酵母の死滅は促進されるため、成分調整後は早急に濾過される。

搾り粕=酒粕は最終的に使用原料米総量の20〜25%にもなるので、もろみの粘度はまだ相当に高く、濾過には長時間を要する。

濾過後、静置され澱引きされる。酵母の活性も残っており、雑菌汚染の可能性もあるため低温で短期間10日以下で行われる。
再度濾過され、加熱処理=火入れされて再度静置、熟成される。

清澄下された酒は調合により品質を調整され、火入れが行われる。
その後、酒は主として価格反応による熟成を行わせるために、密閉タンクに入れ夏を越す貯蔵に入る。
生酒や生貯蔵酒は、ここで火入れを行わず、濾過を一層念入りに行った上で、極低温で貯蔵される。

熟成期間が過ぎると香味は一層丸くなり、アミノカルボニル反応の進行によりやや着色する。再度活性炭処理や濾過、アルコール度調整後、容器に詰めて製品化する。
生貯蔵酒の場合にはここで初めて火入れがなされる。
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2013年07月03日

修行の日々がはじまります

7月なりました。梅雨はいつの間にか終わっていた。

さて、長らく充電期間というかなんというか無職というかフリーランスを気取っておりましたが、笑
ほぼほぼ次の仕事が決まりました。このままだと年収が半分以下になるところでした。笑

もちろんブルーパブ開業に向けて、ビール製造の経験を積むことができる仕事を探してたわけですが、大阪で自宅から通える範囲で、ビールも作ってる酒蔵さんにオファーを頂くことができました。

なんせ普通に求人などあんまりあるような業界じゃないので、色々と縁と縁をつないでもらったわけです。
しかも、やっぱり狭い業界なので、別の方面からつないでもらったご縁が、最終的に合流していってたどり着き、採用に至りました。特にその過程での、ゴールデンウィークでの食博覧会で、実際に能力とキャラクターをアピールできたのが大きかったです。
ご縁をつないで頂いた皆々様に改めて感謝です。ありがとうございます。
久々に「引き寄せの法則」を実感しました。求めよ、さらば与えられん。ですね。

大手の企業からもオファーがあり、これまた感謝で大変面白そうな業務内容だったのですが、ビール製造に携わるまで結構な時間がかかりそうなのと、自分のやりたい規模と差がありすぎて、習得できる技術も変わってくるようだったので。もったいないことですが辞退させてもらいました。うーん、、世間的にはブームの第一線でめちゃおもろそうだったが、、

前職もまぁまぁ人数の多い企業で、色んな人・部署が協働して一つのブランドを築くのってすごいことだなぁ一人じゃムリだなぁと実感したものの、自分には向いてないなぁとも思ったものでした。笑。
なので今回は小さい企業です。もうほぼ全員の従業員さんとも顔合わせできたのでよかった。
実際の勤務初日は7月中旬からですが、その前に顔出して準備していきたいと思います。

というのも、自分にとってもまたかなり新しい仕事ばかりだから。
もちろんビールの製造もそうですが、売上のボリュームで言えば清酒がメインだし、さらに焼酎もあり、酒類別の製造部なんてあるような規模じゃないのでさらに知識の幅が必要。
さらに言うと、業界的に不振の続く清酒業界で、求人も出してないのに採用して頂いた以上、自分の人件費以上は自分で稼ぐ必要があります。
そこで任されることになったのが、今まで注力されてこなかったEC事業、ネットショップ、B2C。直販での新規売上というこれまた大きな仕事です。よくよく考えたら辞退した大手企業からも同じような業務でオファーがあったわけだから、業界的にそういう流れなんだろうと。

酒蔵って昔から酒屋さんに売ってもらって成り立つものだったそうですが、清酒とともに酒屋さんの凋落ぶりは一般消費者でも感じることができるほどです。
結局、酒蔵も生き残っていくためには直販に力を入れていかないといけない。色んな蔵元さんともお話する機会がありましたが、皆さん同じように言ってた。
イベントに出店したり、自社で企画したり、店頭販売したり、そしてもちろんネットショップで販売したり。
歴史ある業界でも、淘汰の波は大きい。いや、だからこそか。

とはいえ自分も別にそもそも製造業はやったことありませんし、ましてやネットビジネスどころか純粋な営業職もやったことありません。
今までマルチプレーヤーだったといえば聞こえはいいですが、全部素人とも言えます。笑
これは、お酒の知識と製造の技術習得どころか、販売でベンチャー事業立ち上げるような感じになりそう。笑
ただ、清酒もビールも焼酎も一社で造ってるところは全国でもそう多くはないので、強みは充分にあり、個性のある商品もあって、売れるような気がするんだなぁ。

というわけで、また新たなチャレンジの日々が始まりそうな予感です。
残り少ない準備期間で知識詰め込めるだけ詰め込んで、ベンチャー事業の戦略を練りたいと思います。
ので、どなたかネットショップビジネスについて事細かくご指導頂ける方、ぜひご一報下さい!!
いえ、事細かくなくてもいいので!笑

さて、ガンバリます。
posted by koji at 03:31| 大阪 ☁| Comment(11) | TrackBack(0) | diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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